コラム

犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事件の現場から浮かび上がる「2つの条件」

2025年07月08日(火)11時00分

住居の隣は会社であり、数台のトラックや資材が置かれてはいるが、人目はあまり多くなさそうだ。反対側の隣は民家であるが、両家の境には大きく枝を広げた高木があり、視線を遮っている。

家の正面には道路があり、その道路を挟んだ向かい側には駐車場が、さらにその先には大きな川が流れている。家の裏側には畑が広がっており、正面および裏側からの視線はほとんどないと考えてよい。すなわち、どの方角から見ても非常に「見えにくい場所」となっていたのだ。


この家に住む息子夫婦と孫は全員外出中であり、被害女性が買い物から戻ったタイミングで犯行が行われた。実行犯は住人の出入りが確認できる場所で待機し、女性が一人になるタイミングをうかがっていたと推察される。

このように被害者の家庭の動静を監視できる場所は「ホットスポット」と呼ばれている。そこを中心にパトロールするのが、ホットスポット・パトロールだ。海外では普通に行われているものの、日本では低調である。

最後に、『犯罪者が目をつける「家」』の「おわりに」を再掲し、締めくくりとしたい。この言葉が、防犯の一助となれば幸いである。

◇ ◇ ◇

映画にしろ小説にしろ、日本人は「動機」が大好きです。極東の小島に密集して暮らしてきた結果、狭い人間関係に敏感な国民性が醸成されたからでしょう。いわゆる「和」の精神の一側面です。

動機の重視は、エンターテインメントとして楽しむ限り、何の問題もありません。むしろカタルシス(精神的な浄化)となり、犯罪を遠ざける心理的効果さえ期待できるでしょう。

ただし、その内容を鵜呑みにし、具体的な犯罪対策に応用すれば、たちまち悲劇を招く危険が高まります。

プロフィール

小宮信夫

立正大学教授(犯罪学)/社会学博士。日本人として初めてケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科を修了。国連アジア極東犯罪防止研修所、法務省法務総合研究所などを経て現職。「地域安全マップ」の考案者。警察庁の安全・安心まちづくり調査研究会座長、東京都の非行防止・被害防止教育委員会座長などを歴任。代表的著作は、『写真でわかる世界の防犯 ——遺跡・デザイン・まちづくり』(小学館、全国学校図書館協議会選定図書)。NHK「クローズアップ現代」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビへの出演、新聞の取材(これまでの記事は1700件以上)、全国各地での講演も多数。公式ホームページはこちら。YouTube チャンネルはこちら

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