コラム

本当に「怠慢」のせい? ヤンキース・コールがベースカバーに走らなかった理由を考察

2024年11月12日(火)08時45分
ゲリット・コール投手

ドジャースとのワールドシリーズ第5戦に先発登板したゲリット・コール(10月30日、ヤンキー・スタジアム) USA TODAY Sports via Reuters Connect

<なぜヤンキースの投手コールは一塁ベースカバーへ走らなかったのか? ワールドシリーズの勝敗を分けたと言われるワンプレーに注目>

米国開催でありながら、野球のワールドシリーズは日本でも大いに盛り上がった。東のスター軍団であるヤンキースと、西のスター軍団であるドジャースが、43年ぶりに対決したのであるから、米国で盛り上がるのは当然だ。

加えて、日本でも多くの人が熱狂した。なぜなら、ドジャースにメジャー7年目の大谷翔平と、入団1年目の山本由伸がいるからだ。もちろん、それだけでなく、野茂英雄が活躍したドジャースと、松井秀喜が活躍したヤンキースという、日本人とっては、なじみのある球団同士の対決だったからだ。

それはともかく、筆者は、今回のワールドシリーズの勝敗を左右したワンプレーに注目したい。そのプレーとは、優勝決定試合で5点差を逆転したのは史上初という第5戦で起きた。

ヤンキース5点のリードで迎えた5回表のドジャースの攻撃。ヤンキースの投手コールは4回まで無失点だったが、5回に失策が重なり無死満塁のピンチ。それでもラックス、大谷を連続三振に抑えた。しかし、2死満塁からベッツの一塁へのゴロに、コールが一塁ベースカバーへ走らず、一塁は誰もいない状態に。そのため、打ったベッツはそのまま一塁を駆け抜けてセーフ。その間に、三塁走者のヘルナンデスが生還して1点。これで動揺したのか、さらにフリーマンとヘルナンデスに2点適時打を浴び、一気に5点を失い、同点に追いつかれてしまった。

プロフィール

小宮信夫

立正大学教授(犯罪学)/社会学博士。日本人として初めてケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科を修了。国連アジア極東犯罪防止研修所、法務省法務総合研究所などを経て現職。「地域安全マップ」の考案者。警察庁の安全・安心まちづくり調査研究会座長、東京都の非行防止・被害防止教育委員会座長などを歴任。代表的著作は、『写真でわかる世界の防犯 ——遺跡・デザイン・まちづくり』(小学館、全国学校図書館協議会選定図書)。NHK「クローズアップ現代」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビへの出演、新聞の取材(これまでの記事は1700件以上)、全国各地での講演も多数。公式ホームページとYouTube チャンネルは「小宮信夫の犯罪学の部屋」。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請は1.7万件増の24.2万件、予

ビジネス

ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨

ビジネス

ECB、成長率予想を再度下方修正 インフレ率は2%

ビジネス

ECB、3会合連続で0.25%利下げ 声明のガイダ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:韓国 戒厳令の夜
特集:韓国 戒厳令の夜
2024年12月17日号(12/10発売)

世界を驚かせた「暮令朝改」クーデター。尹錫悦大統領は何を間違えたのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式多連装ロケットシステム「BM-21グラート」をHIMARSで撃破の瞬間
  • 2
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 5
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 6
    プロ投資家の目で見ると...物流の2024年問題の裏で成…
  • 7
    ノーベル文学賞受賞ハン・ガン「死者が生きている人を…
  • 8
    「自由に生きたかった」アルミ缶を売り、生計を立て…
  • 9
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 10
    日本から学ばず、デフレ・経済停滞から抜け出せなそ…
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 4
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 5
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 6
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 7
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 8
    人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能…
  • 9
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 10
    「糖尿病の人はアルツハイマー病になりやすい」は嘘…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story