債券市場の機能度DI、8月はマイナス34 超長期懸念で戻り鈍い=日銀調査

日銀が1日発表した「債券市場サーベイ」の8月調査によると、債券市場の機能度に対する市場参加者の見方を示す機能度判断DIはマイナス34となった。写真は、日銀本店の屋上に掲げられた日本国旗。1月23日、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Takahiko Wada
[東京 1日 ロイター] - 日銀が1日発表した「債券市場サーベイ」の8月調査によると、債券市場の機能度に対する市場参加者の見方を示す機能度判断DIはマイナス34となった。5月の前回調査(マイナス44)を上回り、2四半期ぶりに改善した。ただ、超長期債の流動性低下が懸念され、5月の急落に対して戻りは鈍かった。
前回はトランプ米大統領の相互関税発表で日本の債券市場でもボラティリティーが高まり、DIが2月調査のマイナス13から31ポイント急落していた。
日銀の担当者によれば、今回調査では超長期ゾーンについて、財務省による発行減額が需給の改善につながったとの声が出る半面で、生保の需要が低調なもとで米国の関税政策の影響や内外の金融政策を巡る不確実性などを背景に引き続き流動性が低いとの声が多かったという。
債券市場の機能度・流動性に関する各論のうち、最も高い買い値と最も安い売り値の差である「ビッド・アスク・スプレッド」の判断DIはマイナス40(前回はマイナス49)、注文量判断DIはマイナス45(同マイナス59)と改善は限定的だった。
調査期間は8月1─7日。日銀の国債売買オペ先や大手機関投資家など75社を対象に調査した。機能度判断DIは機能度が「高い」と答えた割合から「低い」と答えた割合を差し引いた数字で、マイナスの数字が大きいほど市場機能が低下していると判断している市場参加者が多いことを意味する。
<金利見通し>
金利見通しは前回より上方にシフトした。10年債利回りの中央値は、25年度末が1.65%(前回は1.50%)、26年度末が1.75%(同1.60%)、27年度末が1.80%(同1.70%)。20年債利回りの中央値はそれぞれ2.60%(同2.35%)、2.65%(同2.40%)、2.60%(同2.45%)。30年債利回りは3.10%(同2.80%)、3.10%(同2.80%)、3.10%(同2.85%)となった。