インドネシア、デモ拡大でも経済のファンダメンタルズ堅調と当局

9月1日、 インドネシアの金融・経済規制当局は反政府デモが広がり、株式や通貨が売られたものの、経済のファンダメンタルズは強固だという認識を示した。写真はデモのさなかに放火されたジャカルタのバス停跡で8月30日撮影(2025年 ロイター/Willy Kurniawan)
Stefanno Sulaiman
[ジャカルタ 1日 ロイター] - インドネシアの金融・経済規制当局は1日、反政府デモが広がり、株式や通貨が売られたものの、経済のファンダメンタルズは強固だという認識を示した。
主要株価指数は取引開始時に3%以上下落したが、その後下げの一部を回復した。通貨ルピアは抗議デモ激化を受けて前週末8月29日には対ドルで0.9%下落していたが、中央銀行が通貨防衛を表明したことから1日午前には小幅に上昇した。
ハルタルト経済担当調整相はインドネシア証券取引所および金融サービス規制当局との共同記者会見で、経済は基本的に堅調で、計画されている奨励策によって促進されるだろうと述べ、少なくとも8人が死亡した抗議活動による経済への「影響を最小限に抑える」と表明。「景気回復を支える平和的で尊重された状況を望む」と述べた。
学生や市民団体は警備強化を理由に1日に予定されていた抗議デモを中止した。当初、議員手当への不満から始まったデモは先週インドネシア全土に広がり、警察車両がバイクタクシーの運転手をひき逃げしたことから激化した。
プラボウォ大統領は、議員やスリ・ムルヤニ財務相の自宅が荒らされたことを受け、暴徒や略奪者に対して厳重な措置を取るよう軍と警察に命じた。複数の都市で政府の建物や料金所などの公共施設が放火された。
インドネシアの証券会社ミラエ・アセット・セクリタスのアナリスト、Rully Arya Wisnubroto氏は顧客向けノートで、「今後数日間の景気回復と市場の信頼感は社会、政治、治安の問題がいかに迅速に解決されるかに大きく左右されるだろう」と指摘。
「インドネシアの経済状況は比較的安定しているが、傑出しているわけではない。投資家の信頼が回復しなければ、短期的に経済が不安定になる可能性がある」と述べた。
ハルタルト氏は、学生や妊婦に無料で食事を提供するプログラムを加速させ、不動産や労働集約型部門への投資に対する融資など、新たなインセンティブを設けると述べ、タスクフォースが雇用創出の機会を検討すると語った。