米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因に王氏言及
中国を訪問しているブリンケン米国務長官(写真左)は26日、北京で王毅共産党政治局員兼外相(同右)と会談し、ロシアのウクライナ侵攻に対する中国の支援など、さまざまな問題について協議した。北京の釣魚台国賓館で代表撮影(2024年 ロイター)
Simon Lewis
[北京 26日 ロイター] - 中国を訪問しているブリンケン米国務長官は26日、北京で王毅共産党政治局員兼外相と5時間半にわたって会談した。この中で中国によるロシア軍への支援について懸念を表明した。
ブリンケン長官は習近平国家主席とも会談した。
訪中を締めくくる会見で長官は、中国がロシアに軍事部品を提供していることに深刻な懸念をあらためて表明したと指摘。中国は軍需品などの製造に不可欠な製品のトップサプライヤーで、ロシアの「防衛産業基盤を強化するために利用している」と述べた。
ブリンケン長官は、中国のロシア支援に制裁を科すかどうかという質問には答えなかった。
国務省のミラー報道官によると、台湾や南シナ海、その他の争点についても議論した。
中国はウクライナ紛争でロシアに武器を提供することは避けてきた。しかし中国製の工作機械を使ってロシアが弾道ミサイルを増産するなど、中国企業がロシアの兵器産業に協力していると米政府関係者は指摘している。
中国は紛争の当事者に武器を提供しておらず、ウクライナ紛争には関与していないとする一方で、中ロの正常な貿易を中断したり制限したりすべきではないとの立場だ。
王氏は会談の冒頭、米中関係という「巨大な船」は安定したが、「関係におけるマイナス要因は依然として増加し積み上がっている」との認識を示した。
「両国関係はあらゆる種類の混乱に直面している。中国の正当な発展の権利は不当に抑圧されており、核心的利益は課題に直面している」と述べた。
ブリンケン氏は、バイデン大統領と習近平国家主席が11月にサンフランシスコで会談した際に設定した議題を前進させるには「積極的な外交」が必要だと応じた。
「対面での外交に代わるものはない」とし、意見の相違がある分野について可能な限り明確にし、少なくとも誤解や計算違いを避けたいと述べた。
米国務省の高官は会談前に、中国のロシア支援が主要な議題になると述べていた。米政府はロシアの防衛産業に装備を供給している中国企業に対して行動を取る用意があるとしていた。
王氏は米国が主権や安全保障、発展の利益に関する「レッドライン(越えてはならない一線)」を踏むべきではないと述べた。台湾が念頭にあるとみられる。
ブリンケン氏は王小洪公安相とも会談し、フェンタニルに関する問題について協議した。米国はフェンタニルの製造に使われる化学物質の供給を抑制するよう中国に求めている。