コラム

ドラマ『新聞記者』で感じる日本政治へのストレス

2022年01月25日(火)18時13分

Netflixは、いつでもどこでも番組を視聴できることは利点だが、配信の特性で、これまで森友問題に無関心だったような本当に見てほしい不特定多数に届けるには地上波の番組に劣る。地上波では、『新聞記者』ほど直接的ではないものの、テレビ朝日の『相棒』シリーズが、スペシャル番組を中心に政治的な問題を扱ってきた。しかしいずれも一過性の話題で終わっている。ドラマでは不正を行ったものは罰を受けるが、現実では一向にその気配がない。『新聞記者』もそのような位置付けの作品になってしまうのではないだろうか。

とはいえこの作品をきっかけに、さらにブラッシュアップして、日本でも質の高い政治ドラマがつくられるようになるのは文化としては良いことだろう。また現実でも、森友問題はまだ終わっておらず、当事者たちは諦めずに真実の追求を続けていることも強調しておきたいと思う。ドラマは所詮フィクションであり、フィクションで溜飲を下げることによって満足していてはいけないのだ。

プロフィール

藤崎剛人

(ふじさき・まさと) 批評家、非常勤講師
1982年生まれ。東京大学総合文化研究科単位取得退学。専門は思想史。特にカール・シュミットの公法思想を研究。『ユリイカ』、『現代思想』などにも寄稿。訳書にラインハルト・メーリング『カール・シュミット入門 ―― 思想・状況・人物像』(書肆心水、2022年)など。
X ID:@hokusyu1982

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