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7つのキーワードで学ぶ「プラネタリーディフェンス」 天体衝突から地球を守る活動、その「これまでの成果」とは?

(写真はイメージです) joshimerbin-Shutterstock
<JAXAが「地球防衛」と呼ぶこの活動は「れっきとした現実のミッション」であり、最もホットな最新科学トピックだ。その概要、成果、そして最新の計画を紹介する>
「プラネタリーディフェンス(Planetary defense)」と聞くと、宇宙人の襲撃から地球を守るようなSF映画の話だと思うかもしれません。けれど、地球近傍天体(Near Earth Object;NEO)を逐次観測して地球衝突確率を計算したり、地上に落下した場合の被害の最小化を考えたりするれっきとした現実のミッションです。近年は各国の宇宙機関を中心に、国際会議やワークショップで活発な議論が展開されています。
本年4月には東京大学で一般向けの講演会「天体衝突から地球を守る──地球防衛の最前線」 (主催:東京大学宇宙惑星科学機構、共催:JAXA<宇宙航空研究開発機構>)が開かれ、JAXAプラネタリーディフェンスチームやNASA(アメリカ航空宇宙局)、ESA(欧州宇宙機関)のプラネタリーディフェンス関係者から現状や問題点が説明されました。その後、1週間にわたって研究者向けの国際ワークショップも開催されました。
日本で今、最もホットな最新科学の話題に乗り遅れないように、7つのキーワードから「プラネタリーディフェンス」を概観しましょう。
インタビューコラム「茜灯里の『底まで知りたい』」の宇宙科学研究所・藤本正樹所長の回の予習復習にもおすすめです。
1.プラネタリーディフェンス(Planetary defense)とは
天体衝突から地球を守るための活動のこと。JAXAは分かりやすいように「地球防衛」という日本語訳を当てている。
地球に衝突する恐れのある地球近傍天体(NEO)を発見し、追跡観測を行って軌道を正確に求めて衝突確率を算出したり、衝突回避活動や被害最小化を検討したりする。科学領域だけでなく国際協力や法整備の検討も必要なため、活動は多岐にわたる。
かつてはスペースガード(Space Guard)と呼ばれていた。現在はプラネタリーディフェンスもスペースガードもほぼ同義に使われている。
1994年、木星に天体が衝突したことから地球でも起こりうると危機感が高まり、96年にスペースガード財団(The Spaceguard Foundation)が設立された。その後21世紀になって地球近傍天体の発見個数が急速に増大し、国連でも議論されるようになって、プラネタリーディフェンスと呼ばれるようになった。
日本では、美星スペースガードセンターがスペースデブリ(宇宙ゴミ)とともに小惑星も観測。2024年4月にはJAXAにプラネタリーディフェンスチームが発足している。
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