コラム

チャットGPTに驚いたのならFacebookのAIに腰を抜かすよ

2023年02月24日(金)21時17分

チャットGPTが持つ対話エンジンに加えて計画エンジンも備えるシセロは高度な外交ゲームもできる Iaroslav Neliubov-Shutterstock

<フェイスブックのAIシセロは、人間と交渉したり、人間を説得できる1?>

*エクサウィザーズ AI新聞から転載

米AIベンチャーのOpenAIが2022年11月30日にリリースした対話型AIのChatGPTが人気だ。ユーザー数は急速に伸びており、1月にはアクティブユーザー数が1億人を超えた。その性能に多くの人が驚いたようだ。

言語系のAIモデルはどこも、この2、3年で大きく性能を伸ばしており、これからいろいろな言語系AIが登場すると見られている。

その一つがFacebookを運営するMeta Platformsが同じく11月に研究成果を発表したAIモデルのCICERO(シセロ)だ。

CICEROは、対話エンジンと計画エンジンの両方を持つAIモデルで、人間と交渉したり、人間を説得できるという。

ChatGPTは対話エンジンしか搭載しておらず、人間の質問に対して豊富な知識で回答してくれるが、交渉したり説得したりという能力はない。CICEROはChatGPTとは異なる領域で活躍することになりそうだ。

CICEROの研究成果は、動画の形でYouTubeにアップされている。この動画によると、CICEROは数人の人間と、戦略ゲーム「ディプロマシー」をプレー。同ゲームの世界チャンピオンに勝利している。

「ディプロマシー」は、第一次世界大戦時のヨーロッパが舞台の戦略ゲーム。プレーヤーは、ロシア、オーストリア、ドイツ、イギリスなどの国になり、他国と手を組んだり、裏切ったりしながら戦いを進め、最終的に物資補給都市をより多く手中に納めたプレーヤーが勝利する。

今回のゲームでは、他のプレーヤーとのコミュニケーションがテキストチャットで行われ、だれがどの国か分からないまま進められた。CICEROも1つの国として参加したが、他のプレーヤーから見破られることはなかった。

ゲームに参加した世界チャンピオンのAndrew Goff氏は、6つの点でCICEROの動きが素晴らしかったと評価する。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、イラン・イスラエル仲介用意 ウラン保管も=

ワールド

イラン核施設、新たな被害なし IAEA事務局長が報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story