コラム

「東京がアジアのイノベーションハブになる」中国人ビジネスマンが東京で起業した理由

2018年12月17日(月)16時00分

──外国人でも国民健康保険に入れるんですか?

ドン氏
就労ビザを持っていれば誰でも加入できます。アメリカでは皆保険制度がないし、民間の健康保険は高額です。ところが日本で出産すれば祝い金ももらえるし、子供手当てももらえる。義務教育はレベルが高いのに無料。これから子供を産んで育てようという若い中国人エンジニアにこの話をすると、皆、びっくりします。

あとアメリカでは就労ビザを取るのが、結構大変です。でも日本ではわれわれのような創業3年未満の会社でも、就労ビザのスポンサーになれます。また高学歴のエンジニアのような高度人材だと、条件を満たせば1、2年で永住権を取得できます。アメリカの永住権とは大違いです。

また資金調達しやすいというメリットもあります。わたしは海外留学経験や、起業経験もあり、中国にとっても高度人材だと思うのですが、中国系金融機関からは融資してもらったことがありません。一方で日本では創業支援融資など、無担保で数千万円借りることのできる制度がいろいろあります。しかも極めて低金利。ベンチャーにとっては非常にありがたい制度です。

社会秩序も整っているし、株式会社は資本金がたった一円ででも作れる。オフィスの賃料も敷金は高いけど、坪単価は安い。

すごくいい条件が揃っているんです。

──これだけ条件がいいのなら、アジアから起業家が集まって来そうですね。

ドン氏
はい、東京って21世紀のアジアのイノベーションのハブになるんじゃないかって思います。でもまだこうした起業に有利な状況のことを知ってる人は少ないんですが。

──こうした話を中国に向けて情報発信していますか?

ドン氏
いや、あまりしてないです。

──してないんっすか(笑)。まあ競合が増えても困りますからね。

ドン氏
そうですね(笑)。でも健全な競争は大歓迎ですよ。それにまだ認知度は低いですが、Invest Tokyoなどといった外国ベンチャー企業誘致のプログラムもあるので、外国人起業家による東京での起業がこれからどんどん増えてくるんじゃないでしょうか。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

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