コラム

日本の「働き方改革」が、若者たちの「未来」に影を落とす?

2018年05月28日(月)16時00分

やってみないとわからないわけですから、勝手に自分で限界を決めつけるのはよくありません。本当に無理だと思っていたことでも、限界を超えるつもりで頑張ってみたら、無理じゃなくなってきた、ということです。

筋トレがまさに好例です。40キロのバーベルを持ち上げることができなかった人が、50キロ、60キロ......と持ち上げられるようになるには、無理だと思っても気合いで持ち上げていくうちに「限界だ」と感じなくなっていくのです。

筋トレと同じ要領で、「限界の基準」は上がり続けるものです。

私は現在、現場コンサルティングを続けながら、年間100回を超えるセミナー、年間100通以上のメルマガの発行、年間200前後のコラムの執筆、年間50本の動画の配信、年間1〜2冊の書籍の出版を、コンサルティング会社の社長業もしながら続けています。周囲からは、「寝てないんじゃないか」「休んでないんじゃないか」と心配されます。しかし当の私はまるで限界に達しているとは受け止めていません。

毎月100キロのランニングや、毎月1回のボランティア活動、毎月20回以上の「家メシ」の調理もしています。子どもの勉強もそれなりに見ているつもりです。

以前は「限界だ」と思っていた状況が、慣れてくると「あたりまえのこと」となり、「限界の基準」だったものが「あたりまえの基準」にすり替わっていきます。

私よりもはるかに多くの事業を手掛け、いくつも会社を経営し、たくさんの団体の幹部を引き受け、全国で講演し、執筆をし続ける方もいます。私の基準からすると、完全に「限界」を超えているのですが、その方にとっては、それが普通であり「あたりまえ」の日常なのです。能力の差もあるのでしょうが、刺激に馴れていくことで「頑張ればできる限界量」が徐々に高まっていくことはあるのです。

「働き方改革時代」の若者たちに必要なこと

この「あたりまえの基準」が、その人にとっての最大の資産です。したがって、生産性を上げたければ、まずこの「基準」を高めることからはじめましょう。

「それはちょっと出来かねます」「今の私では無理です」「限界です」などが口癖の人は、「あたりまえの基準」も「限界の基準」も低い人材のまま。常識的なことであても、「そこまでやらなくてもいいだろう」と無意識のうちに捉える癖がついてしまいます。

「あたりまえの基準」を高めるには、まず「限界の基準」を高めていくことが必要です。頑張らないとできないと判断する量の仕事をこなしていきます。結局は「ハードワーク」をどれだけ長期間やったのか、その歴史が問われるということです。

「働き方改革」もいいですが、あまりに「短時間で効率よく成果を出したい」と思い過ぎないこと。まずは、ある一定の基準に達することが先決です。これからの若者には、長期の視点で「生産性」を高める工夫が、よりいっそう求められます。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国デジタル人民元、香港の商店でも使用可能に

ワールド

香港GDP、第1四半期は2.7%増 観光やイベント

ワールド

西側諸国、イスラエルに書簡 ガザでの国際法順守求め

ワールド

プーチン氏「ハリコフ制圧は計画にない」、軍事作戦は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 7

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」─…

  • 10

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story