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ヨシヒロミウラ|ベトナム

デルタ株vsベトナム激戦! 追い込まれる3大都市と南部!さらに厳格なロックダウン

ベトナム南部の商業都市、ホーチミン市は首都ハノイより洗練されている。(iStock)

ベトナムのデルタ変異株との戦いが激化している。

と戦うようにパンデミックと戦う」。

これはベトナムのグエン フー チョン(Nguyễn Phú Trọng)書記長の言葉ですが、

2021年8月20日の報道によると、さらにファム ミン チン(Phạm Minh Chính)首相は、

「ホーチミン市内の312の坊と社は、感染と管理のための要塞だ」と述べた。

このような政府の発言に国民が応じ団結しています。

坊・社は、あまりなじみのない言い方ですが、坊≒町、社≒村です。

ちなみにベトナム語で言うとphườngが坊で、社はxã。

つまり現在デルタ株がホーチミン市の路地の奥地まで侵入し、戦いは市街戦化しているので、

市民の住む路地やコミュニティを要塞とし、デルタ株の侵入を防御せよという事だ。

1波から3波までの新型コロナ感染者累計は、

2,594名、死者累計35名で、各波最終的にゼロに抑込み勝利した。

しかし2021年4月27日から始り、8月26日時点までのベトナム第4波のデルタ株感染者累計は388,815人で、

死者は9,632人にまで増加しています。

対デルタ株戦でベトナムは現在不利で、感染者と死者が増え悪化しているのだ。

なぜ第4波の対デルタ戦は不利なのか? 死者が多いのか?

[自宅での酸素ボンベ使い方を、ベトナムの国営テレビVTVがわかりやすく伝えている画像]

[酸素を吸いながら部屋の外で横たわる重症患者の写真。ホーチミン市の医療崩壊を表している写真]

重症患者数が受入れ可能病院の病床数をオーバーしていて(野戦病院を建て増やしてはいるが)、

重症患者が自宅治療を余儀なくされる場合がとても多い事と、

ベトナムにとってワクチンの入手が難しく、ワクチン接種者数がまだ多くないという事です。

そのため、感染者数に対する死者数の割合が多いのだ。

この記事では現在のベトナムのデルタ株の感染状況と対策について、以下の4つからお伝えします。

1. ホーチミン市周辺の省にも感染が拡大している
2. ベトナム3大都市のロックダウンがさらに厳格化
3. ハノイ市からホーチミン市に軍を派遣
4. ハノイに500床の重症者用野戦病院を建築

1.ホーチミン市周辺の南部の省に感染拡大

現在の感染拡大状況は、3大都市だけではなくホーチミン市周辺の18省にまで広がり、

ホーチミン市を含め19市省(ホーチミン市、ビンズオン省、ドンナイ省、カントー省、

ビンフオック省、タイニン省、バリア•ブンタウ省、ティエンザン省、ロンアン省、

ヴィンロン省、ドンタップ省、ベンチェー省、ハウザン省、アンザン省、バクリュウ省、

ソックチャン省、チャービン省、カーマウ省、キエンザン省)がロックダウンしている。

3大都市(ホーチミン・ダナン・ハノイ)の感染者増加数は現時点(2021年8月26日)は横ばいが続いているが、

南部のビンズオン省は1日の感染者数でホーチミン市を超える日もあるほどです。

そしてホーチミン市以外の南部の15省、特にビンズオン省、ドンナイ省、

ロンアン省、ティエンザン省などの感染増加が問題となっている(参照データ)。

2.ホーチミン市、ダナン市、ハノイ市のロックダウンをさらなる厳格化

前記事でベトナム3大都市に感染が拡大してる事をお伝えしましたが、

ベトナム3大都市をロックダウン!デルタ株と戦闘するベトナム国民

現時点の3大都市はどうなっているか?

3大都市すべてが首相指示であるCT16を最初に実施された時より、さらに厳格なロックダウンを実施されているが、

各都市の状況に合わせた補足が加えられ、ロックダウンの規制内容が各都市で異なっています。

3大都市に実施された首相指示CT16の内容は在ベトナム日本国大使館から届いたメールにあります。

ホーチミン市のロックダウンがさらに厳格化と延長!ハノイから軍隊も派遣 大使館からのメール【ベトナム】

ダナン市 厳格なロックダウンの実施期間を10日延長!大使館からのメール【ベトナム】

ハノイ市のロックダウン延長! 収束出来ぬデルタ感染 大使館からのメール 【ベトナム】

感染拡大状況に合わせ厳しさを増し続け、ホーチミン市とダナン市は現在は外出禁止。

ハノイ市は交通証を持つ通勤や買物券を持ち市場に行くこと等は許可されているが、それ以外の外出は禁止されている。

また、ホーチミン市人民委員会委員長(日本で言えば市長のような)のグエン・タン・フォン委員長が辞任し

8月24日に新しくファン・ヴァン・マイ氏がホーチミン市人民委員会委員長となるという事もありました。

報道ではこの解雇理由は明らかにされていませんが。。。

3.ホーチミン市にハノイから軍隊を派遣

外出禁止のホーチミン市・ダナン市は軍や警察が食料の配給や買物代行をする仕組みになっています。

そのため、ハノイ市からホーチミン市に1000人もの軍が派遣されたと大きく報道されました。

動画を見ると若い兵士が多く、女性兵士のインタビューもあります。

4.ハノイ市に500床の重症者用野戦病院を建築

ハノイでは8月末に完成予定の500床の重症患者用の野戦病院を建築中だ。

ロックダウン中のハノイ 500床 野戦病院 急ピッチで建築中!【ベトナム】

ベトナムのデルタ株感染での死者は感染者数に比べとても多い。

これは蔓延地に病院が少なく医療崩壊が起きて、重症患者が病院で治療を受けられない事が原因だ。

この重症患者用野戦病院が多くの命を救ってくれる事を願っています。

ベトナムがデルタ株に勝利する日はいつか?

2021年4月27日から始まったベトナムの第4波は、現時点でもうすぐ4か月。

ベトナム全土をロックダウンした第1波では収束するまで105日かかりましたが、

第4波はすでに第1波を超える長期戦となっている。

医療体制の弱さとワクチン不足という弱点がありながらも、政府が諦めずにデルタ株感染拡大予防対策を練り、

改良を重ね実施し、しかし欧米のような混乱がなく指示に対応する国民の姿を目の当たりにすると、

政府も国民も肝が据わってると本当に感心する。

軍が感染蔓延地に動員され、大型野戦病院の建築も進んでいるし、バッドニュースばかりではない。

ベトナムはきっとこの困難を克服するだろう。

Việt Nam nhất định sẽ thắng! Cố lên ! (ベトナム は絶対に勝つ! がんばれ!)

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著者プロフィール
ヨシヒロミウラ

ベトナムハノイ市在住。北海道江別市出身。武蔵大学経済学部経営学科卒業。2017年に国際交流基金日本語パートナーズとしてハノイに派遣。ベトナムの人々と社会に魅了されベトナム定住。現在進行形のベトナム事情を執筆。ベトナム情報ブログ「ベトナムの日本人」と北海道江別市の情報サイト「江別市民ニュース」も運営。ベトナムハノイ市の日本食ネットスーパー「アクルヒハノイネットスーパー」応援係。えべつ観光特使として北海道江別市の納豆をベトナムへ輸出コーディネイト。ベトナムと日本・北海道を繋げる。ツイッター @yoshihiro_x

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