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オーストラリアの診察室から

高尾康端|オーストラリア

コロナ感染者数が少ない国と多い国は何がちがうのか

(omersukrugoksu-ISTOCK)

現在、オーストラリアのほとんどの州では市中感染ゼロの日が長く続いています。 クイーンズランド州では2か月以上市中感染がありません。

私が働いているクリニックでは風邪の症状のある方は、コロナウィルスの検査を一度受けてから受診していただくようにしています。検査結果がでるのは12時間ほどで、医療機関としていつコロナの市中感染が起こっても対処できるように最善の対策をしています。

現在、ブリスベンではマスクをしている人はほとんどいません。 先日、6ヵ月ぶりにバスと電車に乗りましたが、マスクをしているのは私だけでした。 新規の市中感染者がいない日が続いているので、3万人規模のオーストラリアンフットボールの決勝も予定どおりブリスベンで行われました。そのニュースをテレビでみたところ、あまりソーシャルディスタンスは保たれてはいませんでした。私自身、今年初のオーストラリア国内の医療系コンファレンスに参加できました。大きな200人以上入れる会場を30人ほどで利用し、会場に来なくてもオンラインで講演を視聴し、質問することもできました。

メルボルンがあるビクトリア州では一時、一日の新規感染者数が700人を超える日もありました。他の州と比べると、長い111日間の厳しいロックダウンを乗り越えたおかげで、メルボルンでもすでに3週間以上、市中感染がない日を記録しました。多くのビジネスが長い間完全に閉じ、残念ながら倒産したビジネスもたくさんあります。一日に1200件以上の仕事が失われたという報告もあります。政府は企業に対して、Job keeperという従業員に給料を支払うための援助や、仕事をなくした人へは、Job seekerといって経済援助を手厚くするサポートをしました。

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(Maryna Andriichenko-ISTOCK)

やはりコロナ感染者の数を抑えているところを見ると厳しいロックダウンをし、かつ政府のサポートがしっかりしているというのが大事なように思います。良い例として、台湾やニュージーランドなどは、早い段階からマスクの生産を増やしたり、空港を封鎖したりしてきました。しかしロックダウンの間、政府に人々を支える経済的基盤がなかったインドでは失敗し、感染者が劇的に増えてしまいました。

個人的にはオーストラリアが島国で、法的にロックダウンをする手段があり、決断できるリーダーがいたことが良い結果に導いたと思います。もちろんいい点ばっかりでないですし、政治的、経済的問題もありましたが、新規感染者ゼロの日々が続いている現状では、総合的にうまくいったと言えると思います。

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(Kira-Yan-ISTOCK)

先日12月1日からクイーンズランド州がニューサウスウェールズ州のシドニー広域とビクトリア州との州境を開けるという発表がありました。これにより州をまたいだ場合の14日間の隔離がなくなります。クリスマスと年末年始を控え、多くの人にとってとてもうれしい発表です。

参考

https://7news.com.au/sport/afl/afl-grand-final-attendance-figure-confirmed-by-queensland-government-as-30000-c-1359336
https://www.washingtonpost.com/world/2020/10/28/melbourne-australia-coronavirus-lockdown-111-days/
https://www.theguardian.com/commentisfree/2020/jul/04/india-lockdowns-cases-rising-

https://www.abc.net.au/news/2020-11-25/coronavirus-queensland-border-restrictions-victoria-removed/12914958

 

Profile

著者プロフィール
高尾康端

日本、スイス、シンガポール、アメリカで育ち、2004年からオーストラリアに移住。シドニー大学医学部を卒業。現在は東ブリスベンエリアHawthorne Clinicにて家庭医 (GP)として勤務。家庭医の観点からみる病気についての情報、また母国である日本と移住地オーストラリアの医療システムの違いや、オーストラリアで病気になった時に役立つ情報を発信している。

Twitter:@dryasutakao
Facebook:Dr Yasu Takao
ブログ:https://www.dryasutakao.com.au/blog

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