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南米街角クラブ

島田愛加|ブラジル/ペルー

ブラジル大統領選、僅差でルーラ勝利後も音楽チャートは選挙運動ソングが独占中

|なぜここまで政治運動ソングが受け入れられるのか

このようにブラジル人が選挙運動ソングに拒否反応を示さないのは、軍事政権下においてプロテストソングが大流行したことも関係している。現大統領を批判する楽曲が国内チャートで1位になるとは、日本では考えられないことだろう。

サンバが人々の日常を歌ったことで流行したことからも示されるように、大衆は常に自分たちの現実と重ねられる楽曲が好きになる。そして上位中産階級の間でボサノヴァが誕生したのだが、軍事政権になってから国民の心をつかんだのはプロテストソングだった。 当時は軍部の検閲が厳しかったため、作詞家は思考を凝らして二重の意味を持たせた。

中でも「明日は違う日がやってくる!」と民主主義を訴えたシコ・ブアルキの「Apesar de você」は強いインパクトを与え、1978年の作品にも関わらず民主主義を訴える際に今でも歌われる。今回の大統領選でもルーラ氏の勝利宣言にてこの楽曲が流れ、国内チャートでも22位にランクインしている。

シコ・ブアルキだけでなく、ミルトン・ナシメントやカエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジルなどMPB(ブラジルポピュラー音楽)を代表するアーティストたちは、当時政治的なメッセージを送り、ブラジル人は今でもそれらの楽曲を歴史のひとつとして違和感なく聴くことができるのである。

ただし、今回のような他候補者をあからさまに否定するような楽曲がここまで人気になったのは初めてだろう。

|スポーツ、環境問題、世界が注目するブラジルへ

今日も各地でボウソナロ支持者によるデモが行われているが、そんな中、東京オリンピックで体操金メダルに輝いたへベッカ・アンドラーデ選手が世界体操にてブラジル人初の優勝を果たしたというおめでたいニュースが入ってきた。
へベッカはその実力はもちろん、ブラジルのリオデジャネイロで生まれたファンキ・カリオカというアンダーグラウンドの音楽を床の演目に使用したことでも大注目された。 今月にはワールドカップが開催される。

近年ボウソナロ派の象徴となっていたセレソン(ブラジル代表)のユニフォームが国民全員のものとなり、それを着て応援する時がやってきた。ブラジル代表には大きなプレッシャーだろうが、ここで良い結果を出してブラジルを盛り上げてほしい。

また、ルーラ氏が当選したことで世界的にはアマゾン森林破壊問題に対する期待が高まっている。 今回、熱心にルーラ氏の隣で選挙運動に参加していた環境活動家で政治家のマリーナ・シルヴァ氏が環境大臣の候補に挙がっている。同氏は2003年~2008年までルーラ政権で環境大臣を務め、国際的にも評価を受けている。

喜ばしいニュースが続き、少しでもブラジルの二極化を緩和させてくれないだろうか、と願うばかりだ。

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著者プロフィール
島田愛加

音楽家。ボサノヴァに心奪われ2014年よりサンパウロ州在住。同州立タトゥイ音楽院ブラジル音楽/Jazz科卒業。在学中に出会った南米各国からの留学生の影響で、今ではすっかり南米の虜に。ブラジルを中心に街角で起こっている出来事をありのままにお伝えします。2020年1月から11月までプロジェクトのためペルー共和国の首都リマに滞在。

Webサイト:https://lit.link/aikashimada

Twitter: @aika_shimada

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