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England Swings!

ラッシャー貴子|イギリス

街が花で埋め尽くされた、チェルシー・イン・ブルーム

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                    (筆者撮影)

 切手に使われる女王の横顔をイメージしたこの作品は大人気だった。色鮮やかで、花のやわらかい質感も優雅。何より写真がインスタ映えしそうだ。人気があり過ぎて、知らない人の顔がどうしても写ってしまうけれど、気にしない、気にしない。

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                    (筆者撮影)

 女王と言えば冠だ。今回かなり使われていたモチーフだけれど、この2つがわたしのベスト2だった。どちらも戴冠式に特別に使われる聖エドワード王冠を表現しているようで、2作品とも金賞を受賞している。

チェルシーミックス - 2.jpeg                    (筆者撮影)

 エリザベス女王の愛犬コーギーたちの前にも写真を撮る列ができていた。下の写真は舌を出した表情がかわいらしいのだけど、花の質感がなんだか見慣れない感じだった。思わず近づいてそっと触れてみると、隣にまったく同じことをしている女性がいた。目が合ってふたりで「造花だね」「生花じゃなくてもいいんだね」と笑った。広場の前にぽつりと置かれた作品だったので、目が行き届かないとわかっていての配慮だったかもしれない。

 他にも、使われたモチーフは2階建てバス、地下鉄の表示、郵便ポストや切手(英国は郵便発祥の地だ)、ビートルズ、英国製の小さな車ミニなど、英国らしさのオンパレードだったので、観光をしている気分も味わえてうきうきしてしまった。『不思議の国のアリス』やそのお茶会をテーマにしたものもあり、天井や壁に花やトランプやティーカップがぶら下がったトンネルをくぐり抜ける演出はちょっとした遊園地のようだった。黄色い花でできたくまのプーさんもハチミツの壺と一緒にちょこんと座り、お腹に「ハチを守ろう」というメッセージをつけていた。

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                    (筆者撮影)

 少し雰囲気の違うものでは、花ではなくカラフルな花柄のドレスをウィンドウに出す店や、反対にドレスのスカート部分を大小の花で飾った展示もあり、目先が変わって楽しめた。上の写真のように店先に花屋の店を出すシンプルな演出も、こんな風にスタイリッシュに表現されるとかえって目を引いた。

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                    (筆者撮影)

 こちらは、まったく違う意味で人目を引いたディスプレイだ。ロシアの侵攻を受けているウクライナのゼレンスキー大統領と思われる人物の上に「英国を象徴する偉大なもの(人物)」、下には「ウクライナとともに」と書かれている。周りにはウクライナの国家であるヒマワリ。いきなり現実に引き戻されて、思わず立ち止まった。

Profile

著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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