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England Swings!

ラッシャー貴子|イギリス

開発途中、イングランドの「ワクチンパスポート」を取ってみた

英国では18歳以上の成人の半数以上が2度のワクチン接種を終えている。ワクチンがすべてとは思わないし、開発期間が短いことに不安が残るけれど、猛威をふるうウィルスを前にして、今はやはり打つのがベストと判断した。(写真 playb - iStock)

 先日、2度目のワクチンを打ってきた。

 今回も手順は前回と同じで(1度目の接種の様子はこちらの記事をどうぞ)、違っていたのは、すでに確認済みのアレルギーの問診や副反応の説明が手短になったことぐらい。相変わらず効率がよく、その場にいる人はみんなフレンドリーだった。打ったワクチンは前回と同じアストラゼネカで、今回は副反応はほぼなし。注射を打った部分がほんの少し、小学校のインフルエンザ注射の後ぐらいには重くなったというだけだった。

 和やかな雰囲気ながら、接種会場に行くと、やはり自分たちがコロナ禍にいることを肌で感じた。注射を打ってくれたベテラン風の女性に「最近ますます忙しいんでしょう?」と話しかけると、「そうねぇ、会場が開いてる時間は長くなったわね。みんながんばってるわー」と明るい返事。さらに「どうもありがとう。手伝えなくて申し訳ないけど」と返した時の「こちらこそありがとう。一緒にがんばりましょうね」という言葉に励まされた。みんなで協力して乗り越えるというのを改めて思い出す。

 この会場では徒歩の人には接種後にアレルギー反応を見る待機の時間が免除されるので、建物の中にいたのは、ちょっとしたおしゃべりも含めてたったの7分。なんでも時間のかかる英国でこんなに効率よくものごとが進むことに改めて驚いた。やればできるのだ、この国は(つまり、ふだんはやらないだけなのだ!)。

ワクチン証明たて - 1.jpeg

待機室にあった案内。海外旅行に行くことを励みにワクチンを受ける人も多いので、このイラストはわかりやすくてとてもいいと思った。つい話しかけてしまったら、奥にいる女性が描いたんだよと教えてくれた。ワクチン接種会場にすごくきちんとした看板をかけているのを日本のニュースでちらりと見たけれど、こちらは手書きも多くて、ゆるく進められている。(筆者撮影)

 さて、ワクチンを2度打った後は何ができるのか。イングランドでは5月からワクチン接種証明、いわゆる「ワクチンパスポート」を発行している(実際には「vaccine record(ワクチン記録)」と呼ばれる)。GP(かかりつけ医)に登録している13歳以上の国内在住者が対象だが、実際には今の時点でこれを使う機会はほとんどない。英国内の公共施設や店に入るにはまったく不要だし、外国から到着する旅行者にはワクチン接種証明よりも検査の陰性証明を求める国がほとんどだからだ。だから特に必要はないのだけれど、興味もあって取ってみることにした。

 取得の方法は、(1) スマホやタブレットでNHS(国民保健サービス)のアプリを使う、(2) NHSのウェブサイトを使う、(3) 119に電話する、の3種類。119はコロナウィルス関連の情報を提供しているNHSの専用電話だ。ここで手続きすると紙の証明書が発行されるので、主にスマホやインターネットを使わない人が対象のようだ。イスラエルで早々に導入されたワクチンパスポート制度ではアプリが主流と聞いたので、今回はスマホでNHSのアプリを使ってみることにした。

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著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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