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2026年、テロは「国家」を超える──イスラム国が変貌させた世界の脅威
ブランドとしてのイスラム国
現在、アフリカ、中東、南アジアなど、世界各地で活動する武装勢力がISへの「忠誠(バイア)」を誓い、ISホラサン州などを名乗っている。これは必ずしも、シリアやイラクの残党が現地に直接赴いて指揮を執っていることを意味しない。
むしろ、現地の社会経済的な不満や民族対立などを背景に活動していた既存の武装グループが、ISという世界的に知名度のある看板を掲げることで、自らの活動に宗教的正当性と国際的な注目を付与しようとする、いわば「フランチャイズ化」の現象である。
例えば、アフリカのサヘル地域やナイジェリア、モザンビークなどで勢力を拡大しているIS系勢力は、地元のガバナンスの欠如や貧困といった切実な問題を、ISのイデオロギーで「聖戦(ジハード)」の文脈へと書き換えている。
ISというブランドは、これらの地域勢力にとって、新たな戦闘員を惹きつけ、存在感を誇示するための強力なマーケティング・ツールとなっているのである。このように、ISは組織としての実体を超えて、過激派が依拠すべき「標準規格」としての地位を確立している。
イデオロギーとしてのイスラム国
さらに、ISの真の脅威は、物理的な組織や武装勢力との連携以上に、国境や人種を超えて個々人の精神に浸透する「イデオロギーの伝播力」にある。ISは、インターネットとSNSを最大限に活用し、洗練された映像表現や巧みなナラティブを通じて、世界各国の社会経済的不満を抱く個人に直接訴えかけてきた。
先進国において、疎外感やアイデンティティの危機に直面し、社会の中に居場所を見出せない若者たちにとって、ISが提示する「絶対的な正義」や「帰属意識」は、極めて強力な誘引力を持つ。彼らにとってISは、自らの不満を「崇高な目的のための闘争」へと昇華させてくれる免罪符となり得るのだ。
こうした個々人が、組織との具体的な接触を一切持たないまま、インターネット上の宣伝に感化されてテロを実行する「ローンウルフ(一匹狼)」型のテロは、もはやISの主要な戦略の一つとなっている。
ここで重要なのは、ISが単なる破壊活動の教唆者ではなく、一種の「救済の物語」を提供するイデオロギー装置として機能している点である。ISの思想は、現実に絶望した個人に対し、社会の破壊を通じた浄化という過激なビジョンを提示する。
この多機能性は、ISを単なる「打倒すべき敵」から、「根絶すべきウイルス」のような存在へと変質させた。
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