国際化すればするほど、「空気」を読めなくなった日本人

VEERASAKPIYAWATANAKUL/ISTOCK
<LINEなど文字中心のコミュニケーションは日本の「白黒つけない」気遣いの文化を変えるかもしれないが、必要以上の同調圧力や忖度を求める風潮も改めるなら嘆かわしくないのでは?>
日本は「ハイコンテクスト文化」だと言われることがある。日本語のコミュニケーションでは言語外の情報、すなわちその場の状況や相手の立場から意味を理解する必要が多い。だからハッキリと言わず「におわせる」ことができる、という趣旨だ。
実はこの考えは学術的に実証されておらず反論も多いのだが、例えとして挙げられる事例はなんとなく納得させられてしまう。近所の住民同士が交わす「いい天気ですね、今日はどちらまで?」「ちょっとそこまで」といった会話はまさに日本的だと思う。
これが欧米なら「どちらまで?」と聞くと「Itʼs none of your business(あなたには関係ない)」と言われかねないが、日本では意味深な表情で「ちょっとそこまで」と伝えることで「あなたには言いたくない気持ちをくみ取ってね」と暗に言える。「一を聞いて十を知る」ことを求めるわけだ。
私が生まれたイランもどちらかというとハイコンテクストの文化だと思うが、一を言っても四~五しか理解されないことはよくあった。
だが主観を承知で述べると、昨今、日本ではむしろハイコンテクストの逆、言語での伝達を重視する「ローコンテクスト化」が進んでいると感じる。パンデミックのせいで対面でのコミュニケーションが減ったせいだろうか。
特に若者たちはLINEやメッセンジャーで、短い文章で要点を伝えることにたけている。社内で隣同士の席で働いているにもかかわらず、チャットでのみ会話する若手社員もいるくらいだ。彼らのメッセージや求める回答は具体的で、私が会社員時代に困った上司の「あれ、やっといて」といった「察する」ことを要求する言い方と大きく異なる。
日本が契約社会、成果主義に変わりつつあることも、ローコンテクスト化の原因ではないかと考える。友人に外資系企業で管理職を務める女性がいるが、10代の娘が何に悩んでイライラしたり落ち込んだりしているのか、話し合っても理解できずにいた。
そこで娘の習い事の先生に相談すると「説明させるのではなく何を言葉で表現できないのかを探り、そのもどかしさに共感してあげるとよい」とアドバイスされたという。友人は自分の頭が凝り固まっていたことにショックを受けていた。
つまり長年企業で勤めるうち、毎年目標を決めてその達成具合でのみ評価される、白黒がハッキリつくローコンテクスト文化が染み付いてしまい、娘の多感な時期の、言葉にならない不安定な気持ちを理解できなくなっていたことに気付いたそうだ。
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