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育休を取得しても育児をしない夫!? 日本の男性の育児分担率は国際比較で見て最低

2026年3月18日(水)11時30分
舞田敏彦 (教育社会学者)

試みに、47都道府県別に2つの指標を計算してみる。就学前の子がいる男性正社員の育休利用者率と、同じく就学前の子がいる男性の育児分担率だ。<図2>は横軸に前者、縦軸に後者をとったマトリクス上に47都道府県のドットを配置したグラフだ。十字の点線は全国値を意味する。

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育休利用者率が高い県ほど育児分担率が高くなるかと思いきや、そうはなっていない。育児分担率が最も高いのは新潟だが、本県の育休利用者率は低いほうだ。逆に育休利用率が高い東京や大阪の育児分担率は、全国値(点線)を下回っている。47都道府県全体で見ると、うっすらとした右下がりの傾向すらある(相関係数はマイナス0.2657)。

育休をバカンスであるかのように考える夫、「ストレスが増すだけなので、夫には育休を取らないでほしい」と考える妻。育休中、何もしない夫に妻が愛想を尽かし「育休離婚」に至るケースもあるという(「"育休離婚増加?『育児協力ない』『子供に関するお金を払わない』妻たちの切実な声」ABEMA TIMES,2026年3月14日)。

男性の育休取得率に一喜一憂しているだけでは、こういう現実は見えにくい。育児休業が、期待される機能を果たしているか。公的な調査が実施されるべきだろう。特に、男性の育休利用率が高いにもかかわらず育児分担率が低い自治体は、育休制度の「逆機能」を疑い、実態を確かめてみる必要がありそうだ。

<資料>
「Family and Changing Gender Roles V - ISSP 2022」の個票
総務省「就業構造基本調査」(2022年)
総務省『社会生活基本調査』(2021年)

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