イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する世界の「6つの衝撃的な真実」とは?
【真実6】内部の脆弱性――数字が示す「両刃の剣」
しかし、圧倒的な武力を行使する攻撃側もまた、深刻な内部の脆さを抱えています。これは単一の戦場ではなく、国内世論と経済という「もう一つの戦場」における戦いでもあります。
•アメリカの政治的苦境。トランプ大統領の支持率は36%という過去最低水準にあり、ガザで見られた凄惨な「大量虐殺(ジェノサイド)」に対する国内の激しい批判が、さらなる戦争への足かせとなっています。
•イスラエルの耐久力の限界。2025年のわずか12日間の紛争において、イスラエル国内では少なくとも、イランのミサイルによる直接的な物質的損害に対する3万8700件もの賠償請求が発生しました。
もしイラン側が強固に抵抗し、アメリカの基地やイスラエル国内に打撃を与え続ける「消耗戦」に持ち込めば、攻撃側は自国内から崩壊するリスクを孕んでいます。戦いが長引けば長引くほど、攻撃側にとってそれは「苦い選択」へと変わっていくでしょう。
深く、消えない傷跡
今回のイランへの直接攻撃は、中東の地図を書き換えるだけでなく、私たちが信じてきた国際社会の秩序という幻想を永遠に葬り去りました。
たとえこの軍事行動が物理的に終了したとしても、一度刻まれた「存在を賭けた戦い」の傷跡は、単なる表面的なダメージとして消えることはありません。それは歴史の深層に、絶望と憎悪、そして不信という拭い去れない痕跡を刻み込みます。
既存のルールが崩壊し、力のみが正義を語るようになったこの「ジャングルの法則」が支配する世界で、私たちは何を指針にすべきなのか。答えの見えない問いを抱えたまま、私たちは未知の、そして極めて危険な新秩序へと足を踏み入れようとしています。
【執筆者】アルモーメン・アブドーラ
エジプト・カイロ生まれ。東海大学国際学部教授。日本研究家。2001年、学習院大学文学部日本語日本文学科卒業。同大学大学院人文科学研究科で、日本語とアラビア語の対照言語学を研究、日本語日本文学博士号を取得。02~03年に「NHK アラビア語ラジオ講座」にアシスタント講師として、03~08年に「NHKテレビでアラビア語」に講師としてレギュラー出演していた。現在はNHK・BS放送アルジャジーラニュースの放送通訳のほか、天皇・皇后両陛下やアラブ諸国首脳、パレスチナ自治政府アッバス議長などの通訳を務める。元サウジアラビア王国大使館文化部スーパーバイザー。近著に「地図が読めないアラブ人、道を聞けない日本人」 (小学館)、「日本語とアラビア語の慣用的表現の対照研究: 比喩的思考と意味理解を中心に」(国書刊行会)などがある。
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