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少子化「産みたい人が産める」社会はどこへ ── 日本が下げ続けた2025年、韓国が反転した理由

2026年2月28日(土)12時28分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「前年差」「出生率」「世代の厚み」で日韓を比較

速報値が出たばかりの現時点で日韓を比較するうえで第一に見るべきは前年差(増減)である。2025年、日本は過去最少を更新し、韓国は増加に転じた。定義差が残るとしても、少なくとも「方向」が分かれたことは読み取れる。

第二の軸は、合計特殊出生率だ。韓国は2025年に0.80へ上昇したとされ、最低水準からの小幅な回復を示した。一方、日本は今回の速報ではまだ合計特殊出生率が示されていない。

第三の軸として、人口の「世代の厚み」も重要だ。韓国では第2次エコブーム世代という、人口が相対的に厚い世代が出産期の中心に入り、出生数を押し上げやすい局面にあると説明される。日本側は逆に、出産期の中心世代が薄くなる局面に入っている。政策の成否だけでなく、人口構造の局面差も、2025年の数字の違いに影を落としている。

そして、この比較は6月以降に明確な結果が出る。日本では月報年計(概数)や年報(確定数)が公表されれば、国内日本人ベースの出生数や合計特殊出生率など、より比較に耐える材料がそろう。韓国側も暫定値の更新が進むだろう。その段階で、韓国の反転が一時的な人口構造の波なのか、結婚や家計環境の変化を伴う持続的な転換なのかを検証できる。日本についても、下げ止まりの兆しがあるのか、それとも減少が続くのかが、よりはっきり見えてくる。

日本の「過去最少」は、もはや数字の更新では終わらない。韓国メディアが日経の論評を引いて紹介した「社会保障の再設計」という視点は、日本にとっても避けて通れない論点だ。出生の減少が続くなかで、支える側と支えられる側のバランスは確実に変わる。日韓の2025年は、同じ課題に直面しながらも、その局面がずれていることを示した年になるかもしれない。


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