「フェイクの速射砲」で押し切るトランプ――マドゥロ拘束は「出たとこ勝負」だった

SHAM CAUSES OF WAR

2026年1月16日(金)17時38分
スティーブン・ホームズ (ニューヨーク大学法科大学院教授)

深刻な結果への備えを放棄

ヘリテージ財団が第2次トランプ政権のために用意した包括的政策提言「プロジェクト2025」には、一貫性のある政策が記されている。ただしその根底にあるのは、大統領が野党や国民の批判や反対に左右されず、単独で権限を行使できる力を強化することだ。

議会による承認、省庁間の協議、法的な審査、国民への説明。いずれも致命的なミスを防ぐための安全装置だが、トランプはそれらを回避すべき邪魔者として扱っている。


先日の記者会見もそうだった。今のベネズエラを統治しているのは誰かと問われると「ある集団」と答え、旧体制が反撃してきたら「第2波」を繰り出すと答えたが、失敗したら?という問いには沈黙した。先のことまでは考えていないから、正当化する必要すら感じていないのだろう。

ありもしない「危機」を次から次とでっち上げる一方、トランプは本物の危機に備える努力をきれいさっぱり放棄している。まるでオオカミ少年だ。

このままだとアメリカは誰にも信用されなくなり、いざというとき助けてくれる同盟国はいなくなりそうだが、構うものか。恫喝と恐喝、そして軍事力を振りかざせば何事も自分の思いどおりになる──彼はそう信じているのかもしれない。

しかし、その結果アメリカに起きる問題は、国際社会における信用の失墜にとどまらない。熱烈な支持者で固めた今の政権幹部には批判的思考というものが欠落している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン軍艦がスリランカ沖で沈没、32人救助 遺体を

ワールド

中国政協開幕、軍トップ張氏ら政治局員2人が姿見せず

ビジネス

スイス中銀、為替介入意欲が高まる=副総裁

ビジネス

英2月サービスPMI改定値は53.9、回復続くも雇
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 6
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 9
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 10
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中