「フェイクの速射砲」で押し切るトランプ――マドゥロ拘束は「出たとこ勝負」だった

SHAM CAUSES OF WAR

2026年1月16日(金)17時38分
スティーブン・ホームズ (ニューヨーク大学法科大学院教授)

アレクザンダー・ハミルトン(後の初代財務長官)は大統領が「差し迫った危険を偽装」する可能性に気付いていたし、ジェームズ・マディソン(第4代大統領)は世論を欺くための「人工的な危険」に警鐘を鳴らし、ジョン・ジェイ(最高裁初代長官)は「戦争には正当な理屈もあれば偽りの理屈もある」と見抜いていた。

だから、いかなる緊急時の権限行使も事後に(議会と国民への説明という形で)正当化されねばならないとする規則を作った。


つまり行政府が何かをやれば立法府が問いただし、最終的に国民が選挙で判断する仕組みだ。それで行政の嘘を防げるとは限らないが、嘘を見つけ、その代償を払わせる効果はあった。

しかしトランプはこの制度を空洞化させた。過去にも、堂々と嘘をつく政権はあった。

例えばジョージ・W・ブッシュ政権は2003年の対イラク戦争に当たり、大量破壊兵器の脅威をでっち上げた。しかし、何度も同じ嘘を繰り返すうちにボロが出て、見破られた。

ここで大事なのは、説得を目的とした1つの嘘と、真実とも虚偽ともつかない情報の洪水の違いだ。前者ならば暴かれる可能性があるが、後者の場合は圧倒的な量と一貫性を欠く主張のせいで検証不能になる。

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