「フェイクの速射砲」で押し切るトランプ――マドゥロ拘束は「出たとこ勝負」だった

SHAM CAUSES OF WAR

2026年1月16日(金)17時38分
スティーブン・ホームズ (ニューヨーク大学法科大学院教授)

ベネズエラ軍基地を精密爆撃 1月2日深夜、F35などの米空軍機がベネズエラ空軍・海軍基地や通信施設をピンポイントで攻撃し、陸軍特殊部隊デルタフォースが基地に潜んでいたマドゥロを拘束した

目的が法の執行だったのか、体制の転覆だったのかも判然としない。共和党上院議員のトム・コットンは「誰かを逮捕するたびに議会に通知する必要はない」と述べ、議会への事前通知がなかったことに問題はないとした。

この見解に従えば、今回の攻撃は麻薬業者の逮捕が目的で、たまたま相手がベネズエラの大統領であったにすぎないことになる。


しかしトランプは、既に体制転覆を実現したつもりらしい。今後はアメリカがベネズエラを「運営」し、アメリカの石油会社が乗り込んでインフラを修理し、「金を稼ぎ始める」と記者会見で語っている。

どちらが正しいのか。犯罪者の逮捕と、その人物の国を支配することはイコールではない。

しかしトランプ政権はそんな矛盾を気にせず、都合のいい理屈を並べ立てるのみだ。

ベネズエラに正義と繁栄をもたらす、麻薬の供給を止める、アメリカへの不法移民を阻止する、「麻薬テロリズム」と戦う、ベネズエラが米企業から「盗んだ」石油資産を取り戻す、西半球からイランと中国を締め出す、等々。

明白な国際法違反だと言われても、トランプ政権は気にしない。むしろ、それが自慢になる。堂々と国連憲章を無視できるのは、トランプが誰にも縛られない証拠だ。彼の支持者は、そんな無法状態を大歓迎する。

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