「フェイクの速射砲」で押し切るトランプ――マドゥロ拘束は「出たとこ勝負」だった

SHAM CAUSES OF WAR

2026年1月16日(金)17時38分
スティーブン・ホームズ (ニューヨーク大学法科大学院教授)

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ジョン・ラトクリフCIA長官(中央)、ピート・ヘグセス国防長官(左)を従えてベネズエラでの作戦行動を見守るトランプ(自身がSNSに投稿した写真) MOLLY RILEYーTHE WHITE HOUSE

ノリエガ将軍拘束との違い

麻薬対策という議論も筋が通らない。トランプは昨年末、麻薬密売の罪により米国内で服役していた中米ホンジュラスの前大統領フアン・オルランド・エルナンデスに恩赦を与えている。

メキシコの麻薬組織から賄賂を受け取り、ホンジュラスを麻薬漬けの国にした罪で45年の刑に服していた男を釈放したのだ。なぜか。彼の所属政党が親トランプ派の右翼政党だからだ。


つまりアメリカ政府は麻薬関連の容疑でマドゥロを逮捕する一方、法廷で有罪が確定した密売人を世に放ったことになる。

石油の利権が「真の理由」であるとか、体制転覆は「以前から計画されていた」などの評価も間違いだ。トランプ政権にそんな一貫性はない。

ある識者に言わせれば、そういった評価は「混乱」を「即興」と見立て、単なる「選(よ)り好み」を「自制的判断」と勘違いしているだけだ。

トランプがベネズエラの石油を欲しがっているのは事実だ。麻薬対策で強硬な姿勢を見せたいのも事実。地元フロリダ州の有権者を喜ばせ、左派の政治家に恥をかかせたいのも事実。キューバと中国に警告を与えたいのも事実だ。

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