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安倍時代とは違う世界で、高市外交はどこへ向かうのか...変わった世界で日本が描くべきアジア像とは

SANAE TAKAICHI

2025年12月30日(火)10時00分
河東哲夫 (元外交官、本誌コラムニスト)
YONHAP NEWSーPOOLーSIPA USAーREUTERS

YONHAP NEWSーPOOLーSIPA USAーREUTERS

<高市早苗首相は高支持率を背景に、安定した政権運営を続けている。しかし、世界はもはや安倍政権の時代とは同じではない。対立より調整が求められる国際環境の中で、日本はどのようなアジア像を示すべきなのか。「安倍2.0」という言葉の先にある現実を考える>


▼目次
戦後80年を「衣替え」の時代...変わった世界で日本が描くべきアジア像

高市早苗首相は好スタートを切っている。台湾発言も日本では大方の理解を得ているし、大型の補正予算でも金融市場は崩れていない。持病の関節リウマチで夜の付き合いを控えているが、そこは補佐役たちが支えてくれる。支持率は就任以来、60〜70%台をキープ。自民党内で今、首相の座を狙える者はいない。国民民主党の協力も確保したから、来年度の予算は通せるだろう。高市首相はこのまま「安倍2.0」になって日本を盛り返し、「世界の真ん中で咲き誇る外交」を展開できるのだろうか?

安倍首相の活躍した2010年代と今は、世界情勢、そしてマクロ経済ともども大きく違う。そこを同じだと思って突っ走ると、先日の台湾有事発言と同じく、言わなくてもいいこと、やらなくてもいいことをして失敗することになりかねない。

何が変わったかというと、まず世界ではトランプ第2次政権で、米中、米ロ関係が長年の「対立」思考から脱皮しつつある。トランプは中国に関税引き上げなど一方的な圧力をかけて譲歩を迫るやり方がもうできないことを認識したし、台湾についても中国の出方を抑止はしても、軍事行動に出る可能性はほぼなくなった。中国も台湾を武力制圧せずとも(失敗した場合のリスクが大きい)、台湾自身が中国に歩み寄ってくることを期待している。

欧州はロシアを脅威と見なしているが、トランプはロシアと手を打つことを目指している。ドイツ、フランスなど欧州の大国もいずれこれになびくだろう。北朝鮮はアメリカと平和合意ができ、周辺諸国との関係も進めば攻めてくることもない。

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