【チャイナ・トラック】ファッション業界に巣食う中国犯罪組織を巡る裁判、イタリアで難航
裁判が停滞する一方で、暴力事件は増えている。ハンガーの製造やファストファッション輸送の支配を巡る争いから、イタリア、フランス、スペインでは爆破や放火事件が多発。ロイターの集計によると、2024年4月以降、少なくとも16件の攻撃があった。
<暴力の発火点>
プラートの検察は判事に対し、中国人犯罪組織を法的に「マフィア」と認定し、資産差押えや厳罰を可能にするよう求めている。しかしこの認定は難しく、国外を本拠地とする犯罪組織を対象地した認定はなおさら困難だ。
フィレンツェの北西にある丘の街、プラートは欧州最大の繊維生産拠点で、7000以上の企業が年間約23億ユーロ(約26億8000万ドル)の輸出を行っている。地元当局によると、そのうち4400社以上が中国系企業だ。
街には中国系の工場や倉庫が軒を連ね、プラートは世界的なファストファッション生産拠点に変貌すると同時に、犯罪ネットワークによる暴力の発火点と化した。
「チャイナ・トラック事件」は2018年に捜査が終了し、検察は容疑者58人が「国外からの支援を受け、非常に強力な資金源を持つ犯罪組織」を形成していたと主張した。しかし7年経った今も証人尋問は始まっていない。主犯とされる中国人男性は2018年に予審拘留から釈放された後、中国に逃亡した。
<縄張り争い>
当時のプラート警察トップがロイターに語ったところでは、事件は浙江省出身と福建省出身の中国人グループ間の、欧州での縄張り争いから始まった。暴力は過去2年間でさらに激化している。





