最新記事
BOOKS

「素人のアダルト動画を見て育てば、子どもが『自分も...』と錯覚する」石井光太が教育現場で見たもの

2025年11月22日(土)09時35分
朴順梨(ライター)

「じゃあしっかり性教育をすればいいのかというと、そういう話でもない。『傷つけ合う子どもたち』でも詳しく触れていますが、子どもによる性犯罪は、性欲とは全く違う文脈で起きています。

世界的にデジタルデバイスを規制すれば話は変わっていきますが、もはや実際に撮影しなくてもAIでディープフェイクを生成できるようになりましたから、子どもたちまでもが『あの子がカワイイから裸にしてみよう』と、気軽に手を出すような時代になりつつあります」

いじめや校内暴力、児童ポルノは、今後さらに増えることはあっても、減ることはないと石井さんは見ている。

「子どもたちの持つ情報端末やアプリの機能が上がれば上がるほど、児童ポルノを作ることは容易になっていくはずです。法律で何かを規制しても、すぐにそれでは対応しきれない新しいものが出てくるでしょう。この流れ自体はもう止めようがない。

また直接的な性加害ではなく、いじめの一環として性的な写真を撮って拡散させるといったことは、異性に対してだけではなく、同性に対しても起きています。一度拡散された画像をすべて削除するのは不可能だから、デジタルタトゥーはより大きな問題となります。

ディープフェイクポルノも『偽の画像・動画』として放っておくことのできない精度のものになりつつあります。クラスみんながそれを見たり、一般に拡散されたりすれば、被害者の子は本物のポルノ画像を流されるのと同じくらい大きな傷を受けることになります。それは女子だけではなく、男子も同じです」

習い事をやらせれば人間性が育つわけではない

スマホを触らない、インターネットを見ない、AIを使わないという解決方法はもはや不可能ななか、子どもを暴力による被害や加害からどう守っていくのか。石井さんは、まず現状把握が欠かせないと言う。

「情報が錯綜する中では、親も子ども同様に何をどうしていいか分からず、困っているのが現状だと思います。

まず親がしなければならないのは、現代の子どもたちを取り巻く成育環境が、自分たちの子ども時代とどれだけ大きく変わったのかを正確に把握することです」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総

ワールド

トランプ氏、マムダニ次期NY市長と初会談 「多くの
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中