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怒れるトランプが息の根を止めようとしている、プーチンの「金の卵を産むガチョウ」とは

Will Oil Sanctions Sway Putin?

2025年10月28日(火)15時50分
キース・ジョンソン(フォーリン・ポリシー誌記者)

しかも原油市場は現在、供給過剰に陥っている。今回の制裁が発表される以前から、多くのアナリストが来年にかけて供給が需要を上回る状態が継続し、原油価格の下落傾向が続くと予測していた。逼迫したロシア財政にとっては厳しい環境だが、輸出が減少すれば見通しは今まで以上に暗くなる。

残る疑問は「トランプ政権がなぜ今、制裁に踏み切ったのか」だ。


EUとイギリスとウクライナは今年1月のトランプ政権発足以来ずっと、アメリカに対ロシア制裁の強化を求めてきたが、成果はなかった。米政権はこれまで、全面的な制裁は和平交渉の妨げになると主張してきた。8月にアラスカで行われたロシアのウラジーミル・プーチン大統領とトランプの首脳会談は失敗に終わったが、会談前にはエネルギー協力の拡大という「アメ」までちらつかせていた。

トランプによれば、方針転換の理由は屈辱的なアラスカでの首脳会談に加えて、ハンガリーでの開催が計画されていた新たな米ロ首脳会談での成果が見込めず(その後、中止が発表された)、プーチンに対する忍耐の限界を超えたことだという。

ロシアは占領地外の地域を含むウクライナ領の併合や、ウクライナの自衛能力の無力化といった強気な要求を繰り返している。その結果、トランプは生産的な交渉を始められないと判断した。

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