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怒れるトランプが息の根を止めようとしている、プーチンの「金の卵を産むガチョウ」とは

Will Oil Sanctions Sway Putin?

2025年10月28日(火)15時50分
キース・ジョンソン(フォーリン・ポリシー誌記者)

「中国は西側が手を出せない供給網を活用した『イラン方式』でロシア産の液化天然ガス(LNG)を輸入し続けている。だが、ロシア産原油は密輸するには量が多すぎる」と、カティナスは指摘する。

ロシア包囲網は強まる一方だ。EUは10月23日、政治的な障害──今回はスロバキアの抵抗──を乗り越えて、第19弾となる対ロシア制裁パッケージを採択した。複数のエネルギー企業に加えて、ロシアの「影の船団」117隻も制裁対象となり、さらに収益性の高いロシア産LNGの輸入禁止も盛り込まれた。


原油安が制裁を後押し

一方、ウクライナはロシアの製油所や燃料貯蔵施設に容赦なく攻撃を加えている。10月23日には、モスクワ南東にあるロスネフチのリャザン製油所が炎に包まれた。こうした攻撃はロシアの石油精製能力を低下させ、ガソリンやディーゼルの輸出の足を引っ張る。さらにロシア軍への燃料供給にも支障が生じている。

ウクライナ戦争勃発から4年を前にして、ロシアのエネルギー部門はいよいよ四面楚歌に陥っているのだ。

そもそも、最近のロシアのエネルギー部門は健全とは言い難かった。今年9月の石油輸出高はウクライナ戦争開始以降で最低水準にまで落ち込み、22年のピーク時の半分に減少した。ロシアの頼みの綱はインドと中国への原油輸出、トルコへの石油製品輸出、そして欧州へのLNG輸出の3つだが、いずれも米欧による制裁の対象となっている。

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