怒れるトランプが息の根を止めようとしている、プーチンの「金の卵を産むガチョウ」とは
Will Oil Sanctions Sway Putin?

米政府の追加制裁を受けて、ロシア産原油のお得意さまである中国の国有大手製油企業はこぞって購入量の段階的な削減を発表。確かに、中国は制裁を逃れやすいパイプライン経由や国際金融システムとほぼ無縁な小規模の製油所を通じて大量のロシア産原油を輸入してきた。それでもロシアの中国向け原油輸出が大幅に減ることは否めない。
インドも同様だ。インドの製油企業は安価なロシア産原油の購入量を「再調整」する意向を発表した。実はこうした動きは今年8月から始まっていた。トランプ政権が、ロシア産原油への依存を理由にインドにさらなる高関税をかけたことがきっかけだ。
もっとも経済制裁は必ずしも実効性を持たない。ロシアは「影の船団」と呼ばれる多数のタンカー群を使って原油輸出を行うなど、これまで西側の制裁の影響を巧みに逃れてきた。皮肉にも、中国とインドがロシア産原油を安く買いたたくことができたのは西側の対ロ制裁のおかげだ。
何年もアメリカに最大級の制裁をかけられてきたイランも、影の船団や洋上で船から船に積み荷を移す「瀬取り」、怪しげな中間業者を介するなどの手法で今も日量200万バレル近い原油輸出を行っている。
だがロシアが必要とする輸出量では、イラン方式の制裁逃れの裏技をイラン並みに駆使することはまず不可能だ。





