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中東情勢

トランプ和平案にネタニヤフが同調...その先の国家像が見えない

2025年9月30日(火)12時22分

米ホワイトハウスはこの日、停戦と人質・受刑者の交換のほか、イスラエル軍のガザからの段階的撤収、ハマスの武装解除、国際機関が主導する暫定政府の樹立を柱とする20項目のガザ和平案を公表。具体的には、イスラエルが合意を受け入れてから72時間以内に全ての人質を帰還させる。これには死亡した人質の遺体も含まれる。イスラエル軍は人質の解放準備のため、合意されたライン(位置)まで撤収。その後、全ての人質の解放が完了した段階で、イスラエルは終身刑を受けているパレスチナ人250人のほか、2023年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲以降に拘束されたガザ地区の住民1700人を解放する。

ハマス幹部のマフムード・マルダウィ氏はトランプ氏とネタニヤフ氏の共同記者会見後にアルジャジーラのインタビューに応じ、トランプ大統領のガザ和平案をハマスはまだ受け取っていないと述べた。


 

当局者によると、カタールの首相とエジプトの情報局長は、トランプ氏の20項目からなるガザ計画をハマスと共有した。ハマスの交渉担当者は、この計画を「誠意をもって」検討し、回答すると仲介者に伝えたという。

今回の和平案では、ガザの再開発が順調に進み、パレスチナ自治政府が改革を実施した後のパレスチナ国家樹立について、曖昧な道筋しか示していない。

関係筋によると、将来的なパレスチナ国家樹立については、ネタニヤフ氏が絶対に実現させないと主張しており、ネタニヤフ氏がトランプ氏の和平案を受け入れる上で大きな障害となっていた。

和平案には、米国がアラブ諸国などと協力し、治安を監督する一時的な安定化部隊を編成することが盛り込まれている。ハマスはガザの統治には関与せず、当初はパレスチナ自治政府の「代表者」による関与も限定的なものになる。ネタニヤフ氏はパレスチナ自治政府がガザを支配してはならないと主張している。

和平案では、ガザの日常的なサービスを一時的に担当するパレスチナ専門家委員会の設立を提唱。この委員会を監督する「平和理事会」は、トランプ氏が議長を務め、トニー・ブレア元英首相も参加する。

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