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終末

福音派の終末予言はまた空振った?――キリストが迎えに来る「携挙」の日に備え、財産も処分して待ったのに

10 Rapture Predictions That Never Came to Pass

2025年9月24日(水)11時47分
アンドリュー・スタントン
携挙の日イメージ

「キリストは敬虔な信者だけを引き上げ(携挙)、地上には終末が訪れる(終末」(画像はイメージ)

<過去には集団自殺さえ引き起こし、繰り返し人々を裏切ってきた「その日」がやってきた>

9月23日または24日に「携挙(rapture)」が起こるという予言がSNS上で拡散している。ドナルド・トランプ米大統領の支持層でもあるキリスト教福音派の一部は、イエス・キリストが再臨し、信仰厚き者たちを地上から天に引き上げると信じている。

南アフリカの牧師ジョシュア・ムラケラの予言を信じた一部の信者たちは、財産を売り払い「終わりの日」に備えているという。

だが、携挙をめぐる予言はこれまでに何度も繰り返されてきた。一度も当たったことはない。

米デューク大学神学校のダニエル・カステロ准教授は、こうした予言が繰り返される理由を次のように語っている。「人々は過去の予言が外れたことをすぐに忘れてしまう。そして同じことを繰り返す」

実際、歴史を振り返れば「その日」は何度も予言され、訪れなかった。代表的な事例を挙げる。

◾️大いなる失望(1844年)
バプテスト派の伝道師ウィリアム・ミラーは、「ダニエル書」の計算に基づき1844年10月22日にキリストが再臨すると主張。数万人のミラー派信者は財産を処分して待ったが何も起こらず、「大失望」として記録された。

◾️ハル・リンゼイのイスラエル終末論(1970年代)
ベストセラーとなった『地球最後の日』で、著者ハル・リンゼイは「1948年のイスラエル建国を目撃した世代が、携挙と終末を見ることになる」と主張。これは、イスラエル建国=終末時計の始動という福音派の象徴的な視点を広めた。リンゼイは1988年前後に終末が来る可能性を示唆したが、現実には何も起こらなかった。

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