自由の女神像はなぜ緑色? 緑青で覆われた像を磨いたらどうなるか、専門家に聞いてみた
Why Polishing the Statue of Liberty Isn't a Good Idea

自由の女神は実は緑色じゃなかった? Frank Wagner
<ニューヨークのシンボル、自由の女神像を磨くとどうなるかという動画がネットで話題となった。実際に何度も計画が持ち上がったようだが...>
自由の女神を磨いたらどうなるかを描いた動画が話題を呼んでいる。
しかし、専門家たちは本誌の取材に対し、現実でそれを行えば像に損傷を与えることになると指摘する。
自由の女神を磨く動画はAIによって生成され、X(旧ツイッター)で1700万回以上再生された。動画では、酸化して緑色になった像が、かつての光沢ある青銅色に戻る様子が描かれている。
しかし専門家によれば、この緑色の被膜こそが像を保護しており、これを磨き落とせば、海に面した環境に立つ像は風化にさらされることになるという。
テキサス大学のイーディス・オドネル美術史研究所のエリカ・ドス教授(美術史)は本誌に、「緑青は、像の非常に薄い銅の表面を保護している」と語った。
「銅の表面は厚さ2.4ミリにも満たないほど非常に薄い。しかし、その上にある緑青は、場所によっては厚さ1ミリに達している」
この被膜を磨き落とすことは、下の金属部分をさらに薄く弱くすることを意味する。仮に磨き落としたとしても、酸化のプロセスはすぐに再び始まり、数年のうちに再び全体が緑青に覆われてしまうだろう。
そのため、自由の女神像の管理を行っているアメリカ国立公園局は、表面の緑青を磨き落とすことを繰り返し否定してきた。
2018年、国立公園局の広報担当者はニューヨーク市のフリーペーパー『amNewYork』に、「銅は風雨にさらされることで酸化し、やがてあの見慣れた緑色の緑青に変わる」と述べた。
「緑青は保護膜だ。強風、塩水、大気汚染といったニューヨーク港の過酷な環境から像を守っている」