<政府やメディアを信じないZ世代は、ワシントンに縛られた民主党から距離を取り、トランプのようなアウトサイダーに希望を見いだしている>


▼目次
1.「若年層=リベラル」はもう通用しない
2.Z世代に広がるトランプの影響力
3.「どちらも信用できない」が本音
4.アメリカの針路を定めるのは、Z世代の選択

1.「若年層=リベラル」はもう通用しない

彼が政治に目覚めたのは10歳の時だった。

2016年のその日、ブライラン・ホリハンドの両親はアラバマ州タスカルーサの自宅で米大統領選のTV討論の模様を見ていた。

たまたまリビングに入ったホリハンドがテレビに目をやると、民主党候補のヒラリー・クリントンが「ドナルド・トランプのような気質の人がわが国の法の責任者でないのは、本当に良いことだ」と言っていた。

すると対抗馬のトランプがすかさず「君が監獄にぶち込まれなくて済むからな」と言い返したのだ。

このとっさの切り返しに、10歳の少年はしびれた。

「すげぇ。一体どこからこんなセリフが出てくるんだ」と思ったと、彼は本誌に話した。

それまで家庭内で特に政治が話題になることはなかった。だが、これがきっかけでホリハンドは政治に興味を持ち、ニュースレターを作成して家族や親戚に読んでもらうようになった。

今や読者は40万人以上。ホリハンドの発信は共和党全国委員会のロナ・マクダニエル委員長(当時)の目に留まり、彼は弱冠16歳で全国委員会の新たな青年組織のトップに抜擢された。

その後に行われた24年の大統領選では、18~29歳の有権者の47%がトランプを支持した。AP通信の調査によると、これは20年の大統領選と比べ11ポイントも多い数字だ。

若年層はリベラルで、年齢が上がるにつれて保守的になる――そんな米政治の常識はもはや通用しなくなっている。

2.Z世代に広がるトランプの影響力

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既存の体制への不信感がZ世代の政治姿勢に影響している GIUSEPPE LOMBARDO/GETTY IMAGES

本誌はジョージア工科大学とオハイオ州立大学、そしてタスカルーサで若者たちの声を聞いた。

その結果、既存の体制への不信感がZ世代(1997〜2012年生まれ)の政治姿勢を形づくり、共和党がそれを利用して支持を伸ばしている実態が浮き彫りになった。

ホリハンドはトランプの分かりやすい話し方と戦う姿勢に引かれたと言う。

「アメリカはトランプのような指導者を待ちわびていたんだ」

ジョージ・W・ブッシュ元大統領の退任後、共和党は「古風な南部の教会信徒の集まり」のようになったと、ホリハンドは言う。

08年と12年の大統領選で共和党の指名候補となった故ジョン・マケインとミット・ロムニーは新しい支持者を獲得できず、党も若年層の支持を掘り起こそうとしなかったというのだ。

それを変えたのがトランプだと、ホリハンドは言う。

テレビ番組で「おまえはクビだ!」の決めゼリフを連発して全米に顔を売り、ソーシャルメディアをフル活用して大統領に上り詰めたトランプは、ホリハンドに言わせれば「究極のインフルエンサー」だ。

それでもトランプが初当選した16年の大統領選後は、共和党の主流派も巻き返しを図った。

マケインのような伝統的保守派が民主党と共に1期目のトランプの暴走を牽制し、ハリウッドや大学などの文化機関も人権や自由を脅かすトランプを批判した。

当時はまだ、若年層もさほどトランプになびいていなかった。

風向きを変えたのはコロナ禍だ。

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【note限定公開記事】Z世代はなぜ「右」へ?――リベラルを離れ、トランプに惹かれる若者たち


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