中国がインドに仕掛ける「水戦争」とは? 中国のダムが下流に住む数百万人を殺すかも
Water War Looms for Asia's Top Nuclear Powers

中国は世界一巨大なダムを造ろうとしている(写真は2006年、湖北省に三峡ダムを建設している際のもの) Reinhard Krause-REUTERS
<中国は国際河川のブラマプトラ川に巨大ダムを建設している。インドは何度も懸念を表明しているが、中国はどこ吹く風だ>
中国はブラマプトラ川(中国名ヤルンツァンポ川)に世界最大の水力発電ダムを建設する計画を進めている。
これによりインド北東部への水の流れが大幅に減少する恐れがあると、インドが警鐘を鳴らしている。ロイター通信が報じた。
本誌は、両国の水資源関連の省庁にコメントを求めている。
ブラマプトラ川は中国とインドの間で領有権が争われているインド北東部のアルナチャルプラデシュ州を流れている。その川に建設されている巨大ダム計画は、隣接するこの2つの核保有国の対立を深刻化させている。
インド側の懸念は、中国がダムを建設することで、川の支配を外交的な圧力手段として利用するのではないかということだ。
建設中の巨大ダムは、中国の再生可能エネルギーの能力を拡大するものであり、習近平(シー・チンピン)国家主席が掲げる「2060年カーボンニュートラル目標」に沿ったもの(なお、中国は依然として世界最大の温室効果ガス排出国でもある)。だがこの建設が生物多様性の豊かな川の流域や、インドとバングラデシュの数百万人の生活に及ぼす影響をめぐって、環境的、地政学的な懸念を引き起こしている。