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米軍が長崎への原爆投下を急いだ理由と、幻の「飢餓作戦」「本土決戦」を在日米国人学者が探る

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2025年8月20日(水)15時45分
M・G・シェフタル(静岡大学教授)

その代わり、3発目の原子爆弾とその後に量産される分の「ファットマン」は秋以降の九州上陸作戦で、戦術レベルの兵器として使うほうが効果的だと彼らは考えた。11月1日に予定される連合軍の本土進攻前に上陸地点をたたき、さらに内陸の日本軍司令部や兵站拠点を無力化させる手段としての使い方だ。

マンハッタン計画の指揮を執っていたレスリー・R・グローブス将軍もアメリカ政府に対して、その日までには10発以上の原子爆弾をすぐに使用可能な状態で用意できると確約していた。


その間も、連合軍側は日本の経済およびインフラを通常兵器で破壊する計画を着々と進めていた。そして、その過程でいかなる副次的被害が出ても構わないと考えていた。当時の第5空軍向けの公式ブリーフィングの一節に、その本音が簡潔に表明されいるので、以下に引用しておく。

「日本の全人口が正当な軍事目標である。日本に民間人は存在しない。われわれは戦争を行っており、アメリカ人の命を救い、戦争の苦痛を長引かせず、恒久平和をもたらすべく全力で取り組む。敵がどこにいようと、可能な限り多くの人数を可能な限り短期間で探し出し、殲滅する」

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