米ロ首脳会談でロシア有利に働くかも...ウクライナ人の「戦争の終わり方」の考えが変わった
Ukrainians Have Changed Their Minds on Ending War
ロシアが譲歩する可能性も
戦争継続ではなく交渉による停戦を望む声が高まっているという世論調査の結果は、8月15日に米アラスカ州で行われる米ロ首脳会談において、ゼレンスキーが不在であることと相まって、情勢の緊迫度を高める要因となっている。
この首脳会談は、ウクライナの 前線での戦闘が激しさを増し、ロシアがウクライナのインフラを標的としたドローンやミサイル攻撃を続けている中で行われることとなる。
交渉の焦点は、「停戦と引き換えに領土を譲る」ことが合意に含まれるかどうかだ。ゼレンスキーは、領土の譲渡がウクライナ憲法に反していると反発。ロシア軍が部分的にしか支配していない地域をプーチンに譲ることになると、否定的な立場を示した。
しかし、ウクライナの地政学アナリストであるビクトル・コバレンコは「一部の東部領土がロシアの支配下に置かれたままでも、正式な承認がなければ、ウクライナ憲法にもゼレンスキーの政治的立場にも抵触しない」と本誌に語り、ウクライナ国内から湧き上がるであろう抗議を回避できる余地があると主張する。
また、トランプが8月上旬にアゼルバイジャンとアルメニアの紛争を解決するにあたり、のアゼルバイジャンのナゴルノカラバフ占領を合意に含めなかったことを例に挙げ、ウクライナにも同様の合意が成立する可能性があると指摘した。
「アメリカがクリミア、ドンバス、ルハンスクをロシアの一部として正式に承認するか、誰にもわからない」
一方、ロシアの出方については、「プーチンは、アメリカによるBRICSのインドとブラジルに対する制裁により存亡の危機にある。ロシアの崩壊を避けるべく、要求の一部を放棄する可能性はある」と、ロシアによる譲歩の可能性を指摘した。