イスラム国「大復活」はアフリカから...先進国に再びテロの脅威が吹き荒れる?

ISIS Is Waging a Deadly War Across Africa That Threatens US

2025年8月7日(木)15時35分
トム・オコナー

アフリカのテロがアメリカに輸出される?

アメリカ政府関係者の間でも、ISやその他イスラム過激派がアフリカで及ぼす脅威についての関心は高まりつつある。

アメリカアフリカ軍(AFRICOM)の司令官マイケル・ラングレー大将も、「(イスラム過激派組織を)放置すれば、アメリカにとっての直接的な脅威となる」と4月に米上院の軍事委員会で述べている(この発言はAFRICOMから本誌に提供されたものである)。


ただ、トランプ政権がコンゴとルワンダの間で和平合意を仲介するなど、ISの影響を受けた国々への外交的関与を深めているとはいえ、他の地域に比べて政策面での関心は薄いという指摘もある。

「外交や軍事、情報機関のプロフェッショナルたちがこの問題を追ってこなかったわけではない。問題は、現場に足を運ぶこともないような『机上の専門家』たちが、この問題の深刻さを認めたがらないことだ」と米特使を務めたファムは語る。

ファムは、第1次トランプ政権下でコンゴに拠点を持つADFをテロ組織に指定するよう働きかけたことを振り返り、「アメリカ政府の政策関係者から、かなりの抵抗にあった」と述べた(最終的にはバイデン政権下でテロ組織に指定された)。

ファムはまた、アメリカが仲介したコンゴとルワンダの和平合意が「両国の平和と安全を実現するだけでなく、両国およびその国民への本当の脅威に目を向ける第一歩となることを望む」と述べた。

「アメリカ人にとっては、それは戦争とテロとの戦いだけでなく、国家安全保障と経済成長に必要な重要鉱物資源へのアクセスという戦略的利害にも関わる問題でもある。アフリカで採掘される鉱物は、アフリカ諸国とのパートナーシップを通じた安全な状況下で初めて採掘・加工が可能となる」

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