韓国の高齢者就業率OECD加盟国で最高の38.2% 喜んでいられない「働かざるを得ない」現実とは
若者は大企業志向、深刻化するミスマッチ
急速な少子高齢化も高齢者の就業率が高い一因だ。韓国は2024年、超高齢社会に突入した。国連は65歳以上の人口が7%以上を高齢化社会、14%以上を高齢社会、20%以上を超高齢社会と定義する。高齢化社会に突入してから超高齢社会に到達するまでフランスは154年、ドイツは76年を要し、高齢化が著しい日本も35年を要したが、韓国は24年で到達した。
2024年上半期、15歳から29歳の青年就業者は対前年比で11万5千人減った一方、60歳以上の就業者は28万千人増えており、なかでも70歳以上の就業者は15万人増え、30代から50代の増加分5万2千人を大幅に上回る(※30代:9万1千人増、40代:8万2千人減、50代:4万3千人増)。
15歳から29歳までの青年失業率は5.9%で、官学民挙げて海外就職、とりわけ日本就職を推進した2018年の9.8%と比べると数字上は改善されたが、構造的な問題が残っている。就職先として大企業を求めるブランド志向である。2022年の統計では大企業の平均給与591万ウォンに対し中小企業は286万ウォンと2倍以上の格差があり、大学生を対象としたアンケートでも就職希望先として64%が大企業を挙げ、公共部門も44%が希望するが、中小企業は16%にとどまっている。
大企業を志望する若者と経験者を求める企業側との乖離から就職しない若者や就職活動すら行わないニートも増えている。今年上半期の20代のニートは約42万人。20代全体の7.3%を占めており、10年前の同期比(4.7%)で1.5倍に増えている。
こういった状況から中小企業が求人を出しても応募者は中高年が中心で、給与の低い単純労働の応募者は65歳以上という構造になっているのが今の韓国の雇用情勢だ。