最新記事
ウクライナ情勢

「戦争の様相を変えた」ドローン...さらなる大量投入に賭けるウクライナ、希望を託す「新型」とは?

2025年7月19日(土)15時42分
ウクライナはドローン大量投入に活路

ウクライナ軍とロシア軍が対峙(たいじ)する最前線地帯は幅約10キロメートルにわたってドローンがひしめき合っており、ウクライナ兵は「殺戮(さつりく)ゾーン」と呼ぶ。写真はFPV(ファースト・パーソン・ビュー、一人称視点)のドローンを準備するウクライナ兵。5月8日、同国中部ドニエプロペトロフスク州の前線付近で撮影(2025年 ロイター/Alina Smutko)

「どこもかしこもドローンだらけ。ドローンしか存在しない。大量のドローンだけだ」──負傷治療のため前線から後送されたウクライナ軍の35歳の「イワン」と名乗る小隊長は、様相が一変した現代の戦争を疲れた表情でこのように表現した。

前線には自爆型から監視用、爆撃用、迎撃用までさまざまな種類のドローンが非常に多く飛び交っている。

ウクライナが今年に入ってからロシア軍の前進を食い止め、攻撃企図をくじくことが可能だと信じる主な根拠がこれらの安価で強力なドローンであることが、ウクライナ軍の司令官や政府高官、国防にかかわる武器メーカーなどへの取材を通じてみえてくる。

ウクライナ軍とロシア軍が対峙(たいじ)する最前線地帯は幅約10キロメートルにわたってドローンがひしめき合っており、ウクライナ兵は「殺戮(さつりく)ゾーン」と呼ぶ。なぜなら両軍が展開する遠隔操作の無人機(UAV)が素早く標的を発見し、無力化できるからだ。

前線で戦う2人のウクライナ軍司令官は、かつてないほど大量のドローンを投入する形に戦争が進化したことで、兵力や大砲・戦車数でのロシア軍の優位が帳消しになっていると説明した。

もはや前線付近で活動する大型車両はドローンにとって格好の餌食でしかないので、ロシア軍は2022年に成功したような、装甲車両を連ねて急速な前進を図ることが不可能になった──各司令官や、前線配置のドローン操縦者1万5000人以上が取得した動画データを集約する非営利デジタルシステム「OCHI」創設者のオレクサンドル・ドミトリエフ氏はこう分析する。

ビジネス
暮らしの安全・安心は、事件になる前に守る時代へ。...JCBと連携し、新たな防犯インフラを築く「ヴァンガードスミス」の挑戦。
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

「貿易システムが崩壊危機」と国連事務総長、途上国へ

ワールド

欧州委、中国のレアアース規制に対抗措置検討─経済担

ワールド

米軍、麻薬密売船を攻撃か 南米太平洋側では初

ワールド

米、対中報復措置を検討 米製ソフト使用製品の輸出制
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 6
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    やっぱり王様になりたい!ホワイトハウスの一部を破…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 6
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中