最新記事
日本社会

外国人労働者100万人時代へ...人手不足と「国民感情」のはざまで、各政党の立場とは?

2025年7月14日(月)13時50分

育成就労制度の大きな特徴は、要件を満たせば特定技能の在留資格を得られることだ。問題なく一定期間働くことなどの条件をクリアして「特定技能2号」が付与されれば、在留期間の更新に制限がなくなる。

政府の計画では、28年度末までに既存の特定技能制度を利用する外国人の受け入れ見込み数は82万人。出入国在留管理庁(入管庁)の担当者は、「育成就労制度で在留資格を得る人を加えれば、28年度末には100万人を大きく超える規模になるだろう」と話す。


 

政府が外国人労働者の受け入れを急ぐ背景には、生産年齢人口の減少に加え、韓国など近隣諸国との「獲得競争」がある。

もともと、アジアの先進国として治安の良さや高賃金を売りにしてきた日本だが、24年9月時点の最低賃金は1055円。韓国の1103円(1ウォン=0.11円で計算)を下回る水準だ。

円安傾向も追い打ちをかけ、入管庁によると、近年はベトナムやインドネシアから韓国へ働きに出る人の伸びが目立つという。政府関係者は「韓国は国を挙げて外国人材の獲得に動いた。その部分では日本は後れを取っている」と話し、政策推進の意義を強調する。

参政党は「育成制度見直し」主張

ただ、参院選の結果次第では、こうした政府方針にも影響が出かねない。実際、参政党は選挙公約に「目先の人材不足を補うための行き過ぎた外国人労働者流入を抑える」と明記。単純労働者の受け入れ人数の制限や、永住・家族の呼び寄せ条件の厳格化など、特定技能、育成就労制度の見直しも掲げている。

前出の政府関係者は「きちんとやっている外国人を大事にするという軸を外れてはいけないと感じる」とし、「今後はこれまで以上に共生のための環境整備が必要になってくる」との認識を示した。

外国人材の受け入れ拡大による日本経済への影響について、専門家はどう見ているのか。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ビットコイン、初の12万ドル突破 「どこで止まるか

ビジネス

FSB、気候変動リスク対応の中期計画発表 新政策は

ワールド

米国、ウクライナへの武器・弾薬供与を継続=ロシア大

ビジネス

ドイツ輸出企業、市場シェア大幅減 競争力低下と連銀
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 2
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 7
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 8
    ただのニキビと「見分けるポイント」が...顔に「皮膚…
  • 9
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 10
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 7
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 8
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中