最新記事
コメ騒動

コメ価格暴騰で悲鳴の日本に救世主? 韓国米、史上初の対日輸出の舞台裏

2025年7月11日(金)11時42分
佐々木和義
東京のスーパーに並んだ韓国産米

東京のスーパーに並んだ韓国産米 KBS News / YouTube

<コメ不足の日本に上陸した韓国米。だがその内実は......>

昨年来のコメ不足による価格高騰の影響のため、日本が今年韓国から輸入するコメは22トンに達するとみられている。

韓国農水産食品流通公社が統計を取りはじめた1990年以降、韓国が日本に年間1トンを超えるコメを輸出したのは2011年と12年、16年の3回で、11年と12年は東日本大震災、16年は熊本地震の支援物資だった。正規輸出は今回が初となる。

慢性的に余剰米を抱える韓国

韓国は慢性的に余剰米を抱えている。韓国政府は災害や有事の際の非常用、また軍用糧食として年間30〜40万トンの公共備蓄米を買い入れており、農協もコメ市場の安定を目的に市場から隔離する隔離穀を買い入れている。隔離穀は食用には供されず、主に酒精や飼料として供給され、買い取る量は需給によって変動する。2010年の隔離穀は韓国内のコメ生産量の2%程度だったが、2014年は5.7%、17年は9.3%まで増加した。2021年には11.6%に達して、23年と24年は5%台で推移している。

コメ余りの主要因は食生活の洋風化だ。韓国人1人当たりの1年間のコメ消費量は1990年の119.6kgから2024年には55.8kgへと半減した。

韓国メディアの毎日経済によると新型コロナウイルスの拡散で政府が外食を制限すると、ファストフードやパン、麺料理を食す人がさらに増え、パンデミックが収束に向かった2022年、消費量対比の在庫率は日本の在庫率12%の3倍近い34.7%に上ったという。

韓国のコメ余りは日本が経験した道のりをなぞっている。日本人1人当たりの年間消費量は1962年の118.3kgをピークに減少、2022年は50.8kgとなっている。生産量のピークは1967年の1445万トンで、政府は1971年から2018年まで減反政策を実施。22年の生産量は726.9万トンと、ピーク時の半分以下となっている。

投資
「FXで長期投資」という投資の新たな選択肢 トライオートFX「世界通貨セレクト」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、リオ・ティント株売却 資源採取産業から

ワールド

ドイツ外相の中国訪問延期、会談の調整つかず

ビジネス

ヘッジファンド、AI関連株投資が16年以来の高水準

ワールド

ロシア、米欧の新たな制裁を分析中 国益に沿って行動
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼稚園をロシアが攻撃 「惨劇の様子」を捉えた映像が話題に
  • 3
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 4
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 9
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 10
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中