日本人が知らない台湾政治の激震...リコールを求められた側がリコールを求め返す泥沼状態に
Taiwan’s One-sided “Great Recall”

野党・国民党の立法委員のリコールを求める集会(台北、4月19日) JAMESON WUーEYEPRESSーREUTERS
<台湾では野党である国民党の立法委員のリコールを要求する政治運動が激化しており、政治の行く先は不透明だ>
台湾では昨年、総統選と立法委員(国会議員)選挙が実施されたばかり。それなのに、今年も選挙イヤーなのかと見まがう雰囲気に包まれている。最大野党・国民党に対するリコール(解職請求)運動が前例のない規模で行われ、同党と与党・民主進歩党(民進党)との間で熱い攻防が展開されているためだ。
国民党は昨年、立法院(国会)の権限拡大を認める法改正を強行し、国民の怒りを招いた。国民党は立法院で辛うじて第1党の地位を保っているが、総統選には2012年を最後に勝利していない。
同党が成立させた法律は立法委員に対し、市民や公務員、企業や軍の幹部を召喚する権限を認めるもの。相手が召喚を拒否したり、虚偽の答弁を行った場合には罰金を科すという条項も含まれている。
国民党による法改正に反対する動きは「青鳥行動」と名付けられ、14年の「ひまわり学生運動」の後としては最大規模の社会運動となった。
立法院の権限を拡大する試みは憲法法廷(憲法裁判所)によって無効とされたが、続いて国民党は憲法法廷そのものの機能を停止する動きに出た。憲法解釈に最低限必要とされる裁判官の人数を定めた上で、頼清徳(ライ・チントー)総統の政権による憲法法廷への人事任命を全て拒否し、裁判官が定足数に達するのを阻止したのだ。