最新記事
イスラエル

イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメージが大きい」理由...世界経済への影響を分析

Why Iran War Hurts China More Than America

2025年6月20日(金)20時40分
ジョン・フェン

原油の輸送にとってのチョークポイント、ホルムズ海峡

本誌が貿易統計を調べたところ、2024年の中国にとって最大の石油輸入先は隣国のロシアだった。しかし、サウジアラビア、イラク、オマーン、アラブ首長国連邦、クウェート、カタールといった中東諸国からの輸入量を合算すると、中国の石油輸入全体の過半数を占めていた。

一方、アメリカは原油の大部分をカナダから輸入していた。サウジアラビアとイラクもアメリカにとっての上位10カ国の供給国に含まれていたが、輸入全体に占める割合は約8%に過ぎなかった。


エネルギー市場は神経質になっている。ドナルド・トランプ米大統領が6月17日、イランに対して「無条件降伏」を要求したことにより原油価格は上昇。もしイランがペルシャ湾とオマーン湾、インド洋全体を結ぶ要衝であるホルムズ海峡を封鎖した場合、原油価格はさらに急騰する可能性がある。

アメリカエネルギー情報局(EIA)の推定によると、幅34キロしかない狭いホルムズ海峡では、1日あたり最大2000万バレルの原油が輸送されている。

イスラエルとイランの衝突以降、原油価格は依然として上昇を続けている。アメリカの価格指標であるウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油は1バレル76ドルを超え、5カ月ぶりの高値を記録した。国際的な指標であるブレント原油も1バレル77ドルに達し、4カ月ぶりの高値となった。

この地域からの供給網が遮断される大規模な紛争が発生すれば、世界経済に衝撃を与え、原油価格は1バレル100ドルを超える可能性がある。この水準は、ロシアによるウクライナ侵攻後の2022年3月に最後に記録されたものである。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル/円3週ぶり高値、中東への米関与

ビジネス

利下げ急がず、関税リスク無視できず=米リッチモンド

ワールド

プーチン氏「ウクライナ全土がロシアのもの」、スムイ

ワールド

英下院、安楽死容認法案を可決 法制化に向け上院審議
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    全ての生物は「光」を放っていることが判明...死ねば…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イ…
  • 8
    「巨大キノコ雲」が空を覆う瞬間...レウォトビ火山の…
  • 9
    「まさかの敗北」ロシアの消耗とプーチンの誤算...プ…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中