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イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメージが大きい」理由...世界経済への影響を分析

Why Iran War Hurts China More Than America

2025年6月20日(金)20時40分
ジョン・フェン
イランとイスラエルの国旗に挟まれた中国国旗

イスラエルとイランの紛争に中国も無関係ではいられない hapelinium

<習近平はイスラエルを非難し、双方の即時停戦を呼び掛けているが>

イスラエルとイランの紛争がより広範な地域戦争に発展する恐れが高まる中、中国の中東依存のエネルギー供給が深刻な混乱に直面する可能性がある。

中国経済の規模は19兆ドルに上るが、製造業を支えるために石炭、天然ガス、原油に大きく依存している。ロンドンに拠点を置くエネルギー研究機関によると、中国は2024年に世界最大のエネルギー消費国であり、アメリカに次ぐ世界第2位の石油消費国であった。


イスラエルは6月13日から、イランの核計画に関係する施設を含む複数の拠点を対象に空爆を行っているが、現在イランのエネルギー輸出インフラは攻撃を受けていない。

ただ、戦闘が激化すれば状況は一変する可能性がある。アメリカの軍事介入に対してイランが戦略的要衝ホルムズ海峡の封鎖で応じるのではないかという懸念が高まっているのだ。

中国の公式統計を見る限り、2024年に中国はイランから石油を輸入していないとされている。しかし、研究者たちは、非公式な手段で輸送されたイラン産の石油が、中国の中小製油所などに輸出されていると指摘している。西側諸国もこれには気付いており、アメリカは制裁に反してイランの秘密裏の石油取引を支援しているとされる中国企業に制裁を科している。

ベルギーに本社を置く貿易分析会社Kplerによると、制裁対象となっているために安価なイラン産原油の90%以上が中国に向かっており、その多くはマレーシアなどの転送地点を経由しているという。中国のエネルギー輸入先を見ると、輸入先はペルシャ湾周辺に位置する国が多く、石油の輸入先に至っては10カ国のうち6カ国がペルシャ湾周辺に集中している。

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