最新記事
自動車

韓国、人口1000万の大都市で自動運転を実用化 ソウル首都圏がレベル3技術の実証拠点に

2025年6月11日(水)12時43分
佐々木和義
ソウル市中心で深夜に運行されている自動運転タクシー

ソウル市中心部、江南区と瑞草区の一部で深夜に運行されている自動運転タクシー(写真撮影=筆者)

<人口密集地域で自動運転バスの定期運行を世界で初めて実現、さらに自動運転タクシーまで>

自動運転技術が世界的に注目を集め、日本では茨城県の境町や常陸太田市などでコミュニティーバスでの自動運転技術が導入されているが、韓国ソウルでも自動運転タクシーと自動運転バスの実証試験が行われている。

自動運転にはシステムが運転手を支援するレベル1とレベル2、システムが主に運転するレベル3とレベル4、完全自動運転のレベル5があり、ソウルの実証実験はシステムの要請に応じて運転者が対応するレベル3となっている。

自動運転タクシー

2024年9月26日、ソウル市は自動運転タクシーの実証実験を開始した。現在3台の試験車両が、平日深夜11時から朝5時まで江南(カンナム)区と瑞草(ソチョ)区の一部約11.7平方キロメートルのエリアで運行されている。江南地区は、ソウルで最も短距離移動が多いエリアで、自動車での移動の約3割が3キロメートル以下だという。利用者は通常のタクシーと同様に配車アプリ「カカオT」で自動運転タクシーを指定して呼び出すことができ、運賃は無償となっている。

試験車両には2005年にベンチャー企業として設立されたソフトウェア開発会社SWMの社員が運転助手として同乗し、4車線以上の道路は自動運転、住宅街などの狭い路地やスクールゾーンでは運転助手がハンドルを握るが、4車線以上の道路でも周囲の状況によって手動運転に切り替える。

ソウルを行き交う一般車両は急発進や急制動、急ハンドルなどが日常茶飯事で、路上駐車も少なくない。そんななかを自動運転タクシーは交通法規を厳守しており、運転助手は安全運転を自慢する。実際、一般タクシーより安全という印象だった。

市では今年下半期、自動運転タクシーを7台に増車し、また試験範囲を江南区のほぼ全域に拡大する計画で、早ければ年内にも有償運行を開始したい考えだ。

配車アプリ「カカオT」での自動運転タクシー呼び出し画面

自動運転タクシーは配車アプリ「カカオT」で呼び出す(写真撮影=筆者)

ビジネス
暮らしの安全・安心は、事件になる前に守る時代へ。...JCBと連携し、新たな防犯インフラを築く「ヴァンガードスミス」の挑戦。
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日産、今期は2750億円の営業赤字を予想 売上高は

ビジネス

ユーロ圏GDP、第3四半期速報+0.2%で予想上回

ビジネス

デジタルユーロ、27年にも試験運用開始の可能性=E

ワールド

米大統領、対中関税10%下げ表明 レアアース輸出継
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面に ロシア軍が8倍の主力部隊を投入
  • 4
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 5
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理…
  • 6
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 7
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中