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荒川河畔の「原住民」(31)

ドヤ街「山谷」に集まる中国の若者たち...36年前の記録

2025年6月3日(火)16時20分
文・写真:趙海成

地元警察によると、ここの「日雇い人夫」の数は5年前(1981年)に比べて半減した。前科のある人が多く、しかも偽名を使っているという。

出身や目的にかかわらず、この地に集まる人々は、運命が似ており、境遇が同じであるため、互いに助け合い、支え合っているそうだ。

彼らの間には暗黙の了解がある。互いに干渉せず、しかしながら共に守り合い、外部の者が「妨害」に来ると、彼らは期せずして集団で対抗するだろう。

警察やマスコミ関係者も、この場所に簡単には足を踏み入れない。彼らは自分たちを見下す「好奇者」やトラブルを持ち込む人々を容認できないそうだ。

現在の山谷には、年を取って働けなくなり路上生活者になった元日雇い労働者が多くいる

現在の山谷には、年を取って働けなくなり路上生活者になった元日雇い労働者が多くいる

外国からの留学生が彼ら山谷の労働者の世界に入り込み、仕事を奪うことは、彼らをそれほど怒らせることはないようだ。突然現れた若い仲間たちを、冷たくもなく、温かくもない、むしろ平等な態度で迎えているという。

社会的に差別され、見捨てられた階層では、国際的な「平等」と「人情」が最も明確に現れるのかもしれない。

ある上海の青年はこう語った。

「私はここでの仕事や、人々が好きです。給料は高く、仕事は楽しく、複雑な人間関係は存在しません。どんな人であろうと、すべては自分の仕事の態度にかかっています。しっかりと働けば、後々、仕事をまた得られるでしょう。

実を言うと、私は一時期、工事現場の警備隊の隊長を務めていました。その時、20人以上の日本人を管理していましたが、彼らは私の指示を素直に聞いてくれました。私は信頼されて、この警備会社の部長も私の身元保証人になってくれました。

もちろん、中国人を雇いたくない雇い主もいます。それは一部の中国人就学生の仕事ぶりが不真面目で、悪い印象を与えたからです」

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