最新記事
韓国大統領選

新大統領の李在明も強権化するのか...韓国を蝕む「強いリーダー症候群」の正体

BEYOND THE STRONGMAN

2025年6月4日(水)09時45分
ナヒ・カン(キングズ・カレッジ・ロンドン上級講師)、カヒ・チョ(シェフィールド大学講師)

広がる若い男女の意識差

韓国経済は自動化が世界でもトップクラスで、AI(人工知能)も盛んに導入されている。このことは、韓国の中堅技能者(と中流の暮らし)に大混乱をもたらしてきた。高い学費を払って子供に技能職に必要な教育を与えても、社会的上昇どころか現在の生活レベルを維持するのですら難しくなるかもしれない。

文化面では、高等教育や労働市場における女性の大規模進出が、職場と家庭の両方で伝統的な男性優位を揺さぶっている。


また、韓国は経済規模に対して社会福祉が貧弱なことで知られる。OECD(経済協力開発機構)加盟国で高齢者の貧困率が最も高く、出生率は最低なのも、伝統的に高齢者と子供の世話を女性に押し付けてきた結果だ。

こうしたダイナミクスは今回の大統領選にどのような影響をもたらすのか。

歴史的には、右派政党からも中道左派政党からも、強権的な大統領が誕生してきた。右派は李明博から朴槿恵まで、強力な指導者を輩出してきた。朴槿恵は、63年から79年まで独裁者として国を統治した父・朴正煕(パク・チョンヒ)の「遺産」の継承者だ。

今回、本命候補と見なされている李在明は、党内のライバルを容赦なく排除してきたことで知られるから、強いリーダーの供給面は満たされそうだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

MUFG、印ノンバンクに40億ドル以上出資へ=関係

ワールド

訪日客11月は10.4%増、紅葉で好調続く 中国は

ビジネス

日経平均は反発、米雇用統計通過で安心感 AI関連も

ワールド

ブラジル中銀、金利据え置き戦略は適切と現時点で結論
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中