新大統領の李在明も強権化するのか...韓国を蝕む「強いリーダー症候群」の正体
BEYOND THE STRONGMAN
広がる若い男女の意識差
韓国経済は自動化が世界でもトップクラスで、AI(人工知能)も盛んに導入されている。このことは、韓国の中堅技能者(と中流の暮らし)に大混乱をもたらしてきた。高い学費を払って子供に技能職に必要な教育を与えても、社会的上昇どころか現在の生活レベルを維持するのですら難しくなるかもしれない。
文化面では、高等教育や労働市場における女性の大規模進出が、職場と家庭の両方で伝統的な男性優位を揺さぶっている。
また、韓国は経済規模に対して社会福祉が貧弱なことで知られる。OECD(経済協力開発機構)加盟国で高齢者の貧困率が最も高く、出生率は最低なのも、伝統的に高齢者と子供の世話を女性に押し付けてきた結果だ。
こうしたダイナミクスは今回の大統領選にどのような影響をもたらすのか。
歴史的には、右派政党からも中道左派政党からも、強権的な大統領が誕生してきた。右派は李明博から朴槿恵まで、強力な指導者を輩出してきた。朴槿恵は、63年から79年まで独裁者として国を統治した父・朴正煕(パク・チョンヒ)の「遺産」の継承者だ。
今回、本命候補と見なされている李在明は、党内のライバルを容赦なく排除してきたことで知られるから、強いリーダーの供給面は満たされそうだ。