中国経済に根強い将来不安...「利下げでも消費せず」止まらぬ貯蓄志向

5月27日、 中国の主要銀行が先週預金金利を引き下げた際、ミロ・チェンさん(37)はソーシャルメディアで「金利が下がった際にあなたは貯蓄しますか、それとも消費しますか」とアンケート調査を行った。北京の商業施設で4月撮影(2025年 ロイター/Tingshu Wang)
中国の主要銀行が先週預金金利を引き下げた際、ミロ・チェンさん(37)はソーシャルメディアで「金利が下がった際にあなたは貯蓄しますか、それとも消費しますか」とアンケート調査を行った。
回答者約5000人の80%超が貯蓄を選択し、内需を喚起して経済成長につなげようという政府の取り組みがいかに難しいかが浮き彫りになった。
中国南部のインターネット企業で働くチェンさんは「結果は一方的で人びとが(将来を)とても心配している様子がうかがえる」と語った。自身も勤め先がいつまで生き残れるか分からないとし、やはり貯蓄すると付け加えた。
預金金利低下の背景には、中国人民銀行(中央銀行)が監督する自主規制機関による預金金利上限の引き下げがあった。各銀行の利益率を守るとともに、貯蓄を抑制して消費や投資を促す狙いとみられている。
しかし近年の預金金利低下が続いた局面でも、爆発的な預金の伸びに歯止めはかかっていない。むしろ、自力でセーフティーネットを築こうと努力している消費者にとって、金利収入減少という副作用への懸念を強める形になりつつある。
公式データによると、今年3月末時点で中国の家計が保有する預金残高の総額は160兆元(22兆3000億ドル)を突破し、前年比で10.3%増えて昨年の国内総生産(GDP)の118%相当に達した。一方、今年1-3月の小売売上高は前年比4.6%増だった。
グローバルデータ・TSロンバードAPACのエコノミスト、ミンシャオン・リャオ氏は、中国の人びとにとって金利低下は「所得の伸びを鈍化させる公算が大きい」と指摘する。