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中国経済

中国は「貯金モード」...関税戦争の休戦中にも「ヤミ輸出」が回っている

CHINA GETS A BREATHER

2025年5月27日(火)13時30分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌副編集長)

唯一の例外といえるのはテクノロジー分野だ。中国のディープシーク社が開発したAI(人工知能)モデル「R1」の成功と政府の後押しでかつてないAIブームが巻き起こり、クリーンエネルギー分野も急成長している。

とはいえ、電子レンジやおもちゃにAIは必要ない。デフレスパイラルや米中貿易摩擦への不安から国内消費は冷え込んでおり、こういった日用品を作る工場にとって新たな販路開拓も難しい。


多くの企業は売り上げを増やすために、しばしば不正な手段に頼っている。最も一般的な方法は、アメリカの関税を回避することだ。これはドナルド・トランプ米大統領の1期目でも見られた現象で、当時はメキシコやベトナムが中国製品の主要な迂回輸出先だった。

アメリカはベトナムにこの慣行をやめるよう圧力をかけているが、中国の対ベトナム輸出は4月、パンデミック以降で最高水準に達した。さらに多くの中国企業は製造拠点をベトナムに移し、迂回輸出を必要としない体制を整えている。

製造業は犯罪のカムフラージュにも利用されている。ベトナムの地方の工場、特に中国企業が運営する工場では中国産製品のラベル張り替えが横行している。

こういった工場は中国と東南アジア諸国との国境沿いにある密輸・組織犯罪ネットワークに支援されていて、中国の軍関係者も関係しているともっぱら噂されている。

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